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ヴァネス来日感謝記念!!
一週間 -その4-



「なぁ、孝天。何か俺、ヨーダが沢山見えるんだけど」
 ヴァネスは目の前に広がる光景を見て、そう言った。
「ヴァネス、あれはヨーダじゃないよ。おじいちゃん、おばあちゃんだよ」
 ヴァネスが、よーく見ると、それは確かに楽しそうに歩くお年寄りたちの姿だった。
 
 F4は今日からいよいよ本格的な個人行動。プライベートで何度も日本に来ていて、一人旅の経験もある阿旭、ヴァネス、孝天にとっては、どうってことない個人行動。しかし、仔仔にとっては「はじめての一人歩きin Japan」。未知の世界に対する不安と緊張は隠せない。昨日の夜から何度も呪文の様に今日の行動を復唱しては確認していた。阿旭は、そんな仔仔を一人で外に出す事が不安で不安で、本人以上に緊張しまくり、昨夜は一睡もできないし、今朝も胃痛は起こる、食べたものは全部もどす、という始末だった。
 そんな阿旭を見かねた孝天は、今日一日、阿旭と一緒に仔仔を尾行すると言い出した。
「仕方ないだろ。このまま放っておくわけに行かないし・・・。あの様子だったら、夜、仔仔が帰って来るまであの状態って感じだもん。だったら、仔仔の行動を見てる方が阿旭も気が楽だろうし」
  確かに孝天の言う通りだった。
「そうだな・・・じゃ、そうして貰うか。お前が一緒なら、俺も安心だし」
 ヴァネスは「まかせるぜ」と、ねぎらう様に孝天の背中をポンポンと叩いた、が・・・。
「何言ってんの?ヴァネスも一緒だよ」
「へ?」
「当たり前だろ?だって、俺と阿旭だけじゃ、ツーショットになっちまうじゃん」
「ジョ、冗談だろ?!俺は昨日も一人で二人の面倒見て、たった一日で十年くらいいっぺんに年取ったみたいな気分なんだよ!!」
「また、大げさなんだから」
「本当だって!!」
「いいのか?俺達がツーショット撮られたら、それこそ昨日のヴァネスの苦労が水の泡になんだぜ」
 孝天はヴァネスに詰め寄った。
「う・・・」
 確かに、一番あり得ない組み合わせでも、今の中華圏のマスコミならどうとでも記事を捏造するだろう・・・。
「いいじゃん。今日一日仔仔をつけて、仔仔が一人で行動できると分かれば、阿旭も明日から安心して仔仔を放っておけるだろうし。なにより俺達の為になるんだぜ。それだったら今日一日くらい。それに、休みはあと4日もあるんだし・・・」
「けど!!」
「アニキ」
「いや、駄目だ!!俺は今日、下北沢に古着を見に行くんだ!!行くならお前一人で・・・」
「あーもう!!ほら、わがまま言ってないで、行くぜ!!」
 孝天はその長い腕を、ヴァネスの首に蛇の様に巻き付けた。
「NO~~~~!!」

 と言うわけで、ヴァネースはあたあたと引きずられ、阿旭と孝天と仔仔の後をつけ、JR巣鴨の駅にいた。
(呪われてるな、俺、絶対・・・)
 ヴァネスはつぶやいた。
「けど孝天、仔仔、何でこんなとこに来たんだ?」
 巣鴨。それはおばあちゃんたちの原宿として、日本ではあまりにも有名だ。くすんだ色の風景、まったりとした街全体のスピード。まさに熟しきった大人の為の定番スポット。どう考えてもまだ二十代前半の仔仔が来る様な場所じゃない。
「って言うか、よく知ってたよな、巣鴨なんて」
「それは、俺がこなかけといたんだよ」
「?」
「俺も仔仔を一人で行動させるの不安だったから、旅行前からそれとなく、『前日本に行った時、巣鴨が面白かったな~』とか『やっぱ日本を知るなら巣鴨だよな~』『今時、渋谷、代官山はダサイ、通はみんな巣鴨だぜ』とか吹いといたんだ。『巣鴨には日本の文化やふれ合いがあって、美味しいものもあるし、お土産も豊富。日本の縮図みたいなところだ』って。巣鴨は前にちょっと来たことあって、どんな街か分かってたから、ここなら安心だと思って」
 確かに、巣鴨は危険な香りは一切しないし、余計な緊張感もない。おまけに、新宿からJRで乗り換えなしで一本。線を間違うこともない。それに、ここなら例え仔仔が迷子になっても、お年寄りの扱いになれている優しいおまわりさんもいるだろう。まさに、日本を熟知した孝天ならではのナイスチョイスだった。
「でも、まさか本当に来るとは思わなかったよ」
 孝天は首を振った。
「仔仔、真似っ子太郎だからな。すぐ影響されるし」
 二人は頷き合った。
「ところで阿旭は?」
「あそこ」
 孝天が親指でクイクイッと指差す方を見ると、商店街の入り口で、視線の照準が仔仔だけに自動ロックされている阿旭が、電柱の影からその姿を見つめていた。
(・・・・・)
 とてもじゃないけどファンには見せられる姿ではない。ヴァネスは憂鬱になりながらも、孝天と阿旭に合流し、阿旭の後ろから仔仔の様子を覗き見た。
 仔仔はあたりを珍しそうに見渡し、エクボを浮かべながらてくてくと歩いている。まずは、ここまで一人で来れたことに満足しているらしい。
 以前は神社へ続く参道だったであろう商店街の中、いろいろなお店を覗きつつ年寄りたちに混じって、人の流れに沿って楽しそうに歩く仔仔。背中に背負ったリュックのフックには、クマさんのマグカップ、ミッキーマウスの方位磁石(ミッキーの指が北を指す)、ロープ、懐中電灯などがぶら下がっている。
(誰を救助するつもりだ、あいつは・・・)
 ヴァネスはため息をついた。
 仔仔が視界から遠くなると、阿旭は仔仔に引き寄せられる磁石の様に歩き出し、その後を孝天が追った。
「ほら、ヴァネス、行くよ!!」
(へいへい・・・)

 三人は阿旭を先頭に一列になって、ダウンジャケットで膨れ上がった大きな身体を丸め、物陰にこそこそと身を隠しながら仔仔の後をつけて行く。かっこつけマンのヴァネスには、かなり不本意な格好だ。本当だったら、今頃、下北沢を楽しく颯爽と歩いてるはずだったのに・・・。
(何だって俺がこんなコソ泥みたいなことやんなきゃなんないんだよ。だいたい、仔仔が甘ったれでいつも人に頼ってるから、いざという時こーいうことになるんだ。それに、阿旭は甘やかし過ぎだし、孝天も面倒見過ぎなんだよ!!)
 そう考えると、だんだんと腹ただしくなってきた。
(仔仔め、覚えてろ。帰ったらあいつのお菓子、全部隠してやる・・・)
 暫くつけていると仔仔はメインの通り脇にある、有名な『とげぬき地蔵』のある神社に入った。
「行動目標その1。『日本の文化に触れる』だな」
 孝天が言った。
「何それ?」
 孝天はダウンジャケットの下のサルパーカーのポケットから一枚の紙を取り出した。
「これだよ」
 ヴァネスが覗き込むと、そこには仔仔の達筆で今日の目標が書かれていた。

 今日の目標 
 一、日本の文化に触れる
 二、美味しいものを食べる
 三、地元の人と交流する
 四、お土産を買う
 五、全部一人でやるっ!!

「出発前に仔仔が提出して行ったんだ。昨日、寝る前に何事にも具体的な目標をたてて、一つ一つクリアして行けば、何だってできないことはないんだぞって言い聞かせたら・・・」
(・・・又、説教ぶっこいたんだな・・・)
「とにかく、これを一人で全部クリアできれば仔仔の個人行動は合格ってわけだな」
「そういうこと」

 三人は神社の木の陰から仔仔の様子をじっと見守った。
 仔仔はちょっとうつむき加減に、お行儀よく列に並び、自分の番が来るのを待っていた。しかし、小さなお年寄り達の中で、若くて大きく、しかも、プレリードックの様に愛らしい仔仔は、周囲から好奇の目で見られている。仔仔自身もそれを感じているらしく、落ち着かない様子で、わざと空を見上げたり、読めもしない案内の説明を読んでいるふりをして頷いたり、居心地が悪そうだ。
 順番が来ると、仔仔は前の人の見よう見真似で、ぎこちなくひしゃくで水を汲んで手を洗い、キョロキョロとしながらお地蔵様の後ろに回った。
「孝天、あれ何だ?」
 こういうことは雑学博士の孝天の得意分野だ。
「あれはトゲヌキジゾウって言って、あのお地蔵様の身体の自分の患部と同じところを触ると、そこが良くなるって言われてるんだ」
「へー。でも、仔仔に悪いところなんてあったっけ?」
 ヴァネスは不思議そうに言った。
「いや、健康そのものだと思うけど・・・。でも、何で後ろに・・・?」
 孝天も首を傾げた。
 見ていると、仔仔は辺りを気にしながら、そっとお地蔵様のお尻をなでた。
「気にしてたのか?」
「ヴァネスが真似したりするからだよ」
 ヴァネスはよく「仔仔の真似」と言って、お尻を突き出してからかっていた。
「今度は前に回った。手を触ってる」
「あいつだけ、ぷっくりだからな・・・」
 納得した口調のヴァネス。
「あ、今度は身体全体をなでるように触ってる」
「努力しないで痩せようとしてるな。せこい奴め」
 そして、阿旭は仔仔のそんな様子を涙ぐみながら見つめ、うんうんと頷いてはひたすらカメラに収めていた。(しかし、デジカメのバッテリーを充電するのを忘れた為、使っているのはキオスクで買った「写ルンです(望遠付き)」)

 お地蔵様と境内の神様に手を合わせた後、仔仔は神社の中の露店を見て回り、駄菓子とお守りをいくつか買い、お地蔵様を後にして、横にある小さな出口から路地へ出た。
 その後、仔仔は有名なカレーうどんのお店でお昼を食べ、デザートに買った薬草ソフトクリームを食べながら、再び通りを歩きだした。
「目標その2『美味しいものを食べる』もクリアだな」
 孝天がメモに線を引いた。
「でも仔仔、通な食べ物知ってるな」
「いや、あれも俺が教えたんだ」
 実は、真似っ子仔仔は、以前聞いた孝天の話を、全てそのままなぞっているのだった。
「あれ、そう言えば、阿旭は?」
 さっきまで先頭をきってつけていた阿旭の姿が見えない。
「大丈夫、あそこにいるよ」
 阿旭は仔仔とおそろいの薬草アイスクリームを買っているところだった。
 本当は一緒に並んで歩きながら食べたかったのだが、それが出来ない今、せめて同じものを口にしながら仔仔の後を辿ろうというのだ。
「ハジュメマシテ。ワタシエフスノジェリデス。アイスヒトチュ、ヨロシクオネガイシマス」
 真面目で礼儀正しい阿旭は、注文の際に笑顔で自己紹介と握手も忘れてなかった。
 
 次に仔仔が入ったのは老舗のお茶屋。無料で試飲をさせてくれるので、いつもお客でごった返しているお店だった。
 三人は、お茶屋の前の甘栗屋の屋台の影にかがんで様子を伺った。
 阿旭はいつも背負ってるデカいデーパックから、仔仔の毛穴まで見えそうな光化学ズーム100倍の双眼鏡を取り出した。
「阿旭、そんなもの・・・」
「ヴァネス」
 孝天が言葉をさえぎった。
「好きにさせといてやろうぜ」
 しかし、屋台の陰から5メートル先の店内を双眼鏡で覗くその姿はあまりにも怪しかった。

 仔仔は、お店に入ると早速カウンターにお茶を取りに行った。
 お茶を受け取ると、「謝謝」と蚊の鳴くような声で言い、休憩所の空いている席を探してそこまで行こうとした。だが、運んでいるうちにお茶がちゃぷんちゃぷんとこぼれ出て、席に着く頃にはコップは空になってしまった。仔仔は暫く空になった紙コップの中を見ていたが、仕方ないな、という風に口元をきゅっと結んで、又、カウンターへ戻った。
 再びお茶を受け取ると、今度はこぼれない様にそろ~りそろ~りと歩いた。だが、入れ替わり立ち代わりお茶を取りにくる人にボンボンとぶつかり、又も、お茶が全部こぼれ出してしまった。又、空になった紙コップの中を見る仔仔。
(あー、もうっ、何やってんだよ!!)←ヴァネス
(どんくせぇ・・・)←孝天
(仔仔、加油!!)←阿旭
 勇敢にも三度、カウンターへお茶を取りに戻ったが、今度は人にぶつからない様に急いで歩いた為、又ちゃぷん、ちゃぷんとこぼしてしまう仔仔。
 すると、そのあまりのトロさに見かねたお店のおばさんが声をかけてきた。
「ちょっとお兄ちゃん、大丈夫?さっきから見てたけど、こぼしてばっかで・・・。もう、おばちゃんがお茶取って来てあげるから、あんたはそこ座って待ってなさい!!」
 仔仔は何を言われているのか分からず、きょとんとして立ち尽くしていたが、おばさんがお茶を持ってきてくれたことで、漸く意味を理解した。
(仔仔・・・、人の世話にならずにはいられない奴・・・)三人は同時にため息をついた。
「はい、お茶。これはお茶請け。特別だからね」
「アリガト」
「どーいたしまして。あら?服がお茶で濡れちゃってるじゃないの。全く、この子は・・・その濡れたままのズボンじゃ風邪ひいちゃうわよ。ちょっとこっちいらっしゃい」
 お茶屋のおばさんは、仔仔のおやつのお茶とお菓子を持って、手招きをして店の奥へ仔仔を招き入れた。
「おい、孝天、あのおばさん、どこに連れて行く気だ?」
 分からない事は、一応、何でも孝天に聞いてみるヴァネス。
「さぁ?」
 と、突然、阿旭がフンフンと鼻を鳴らして立ち上がった。
「仔仔!!」
 そう叫ぶと、どこかへ向かってもの凄いスピードで走って行った。
「阿旭、どこに行くんだよ!!」
 すると、
 ダーン!!ダ、ダーン!!カカカ・・・。ダダダーン!!ダン、ダーン!!カカカ・・・。
 何かがスザマしい勢いで、板の様なものに突進している様な音が聞こえてきた。
 ヴァネスと孝天は顔を見合わせた。
「裏だ!!」

スレッド:自作小説 // ジャンル:小説・文学

2005'09'28(Wed)  sub :: ある日のヴァネース番外編:一週間 その4*  ある日のヴァネース 番外編:一週間*

 
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