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一週間 -その3-



 ヴァネスは朝、一泳ぎしてプールサイドで朝食を取っていた。
 昨日は、夜8時過ぎ頃成田に着いて、そのまま真っすぐ新宿のこのホテルへ向かった。
 ホテルに着いたのは既に11時近かったので、チェックインして各自それぞれ部屋でシャワーを浴び、翌日からの楽しい観光に向けて早めに眠りに就いた。
 広いベッドでぐっすりと眠れて今朝の目覚めも良く、ヴァネスはとても気分が良かった。
(今日は阿旭が仔仔の面倒を見るって言ってたな。浅草だっけ。孝天はどうすんだろうな。何もないと思うけど、一応予定を聞いとくか)
 ヴァネスは孝天の部屋に電話を入れた。
 トゥルルルルル・・・トゥルルルルル・・・。
(孝天の奴、まだ寝てるのかな)
 電話に出る様子がないので、ヴァネスは携帯を切った。
 と、そこへ携帯の着信音が鳴った。発信者は孝天だった。
「よぉ、孝天、起きたか?」
「何言ってるんだよ、とっくに起きてるよ」
「え?じゃ、何で電話に出なかったんだよ。俺、今、お前の部屋に電話入れたんだぜ」
「だって、俺、今部屋じゃないもん」
「部屋じゃない?じゃ、どこいんだよ」
「築地」
「築地だぁ?」
「うん。朝飯食ってるとこ。俺さ、今日はこのまま街を適当にブラブラして写真撮ったりしようと思ってるんだ。夜には帰るからさ、晩飯の場所決まったら連絡してよ」
「いいけど。なぁ、あいつら大丈夫かな」
 何だかんだ言っても優しいヴァネスだ。
「大丈夫だよ。子供じゃないんだし。日本は世界一安全な国だし、二人共あのデカイ身体だ、誘拐されたり襲われることもないだろ。仔仔には迷子カードも持たせてあるし」
 そう言われてみれば確かにその通りだ。
「そうだな。じゃ、夜の集合場所だけ決めとけばいいか」
「じゃぁ、三人で話して決まったら俺の携帯に電話してよ」
「オッケー」
そういうとヴァネスは電話を切った。
(そうだよな、仔仔一人ならともかく、阿旭が一緒なんだしな。よし、だったらさっさと朝飯食って出かけよう)
 ヴァネスは絞り立ての生オレンジジュースに手をのばした。
 それを一気に飲んで立ち上がろうとしたところで、又、携帯が鳴った。
 今度は台北にいる柴姐からだった。
「ヴァネス?休みのところごめんなさい」
「どうしたの、こんなところまで」
 休暇中に、わざわざ東京まで柴姐直々に電話とは・・・。
 ヴァネスはよからぬ予感がした。
「いい、ヴァネス。よく聞いて頂戴」
 カチャッ、と携帯の向こうでライターを開ける音がした。
「フーッ。実はさっき友人の記者から電話があったの。パパラッチが数人、あなたたちを追って日本に入ったって」
「!?」
「どうやら偶然一緒に飛行機に乗り合わせたお客の一人がタレ込んだらしいの。F4のメンバーと見られる美形の大男四人が乗って来て、そのうちの二人が隣同士に座っていちゃいちゃしてたって」
(阿旭と仔仔だ・・・)
「それで?」
「これは格好のネタになるって、何でもいいからツーショットを撮って来いって言われてるらしいわ。きっと、それ使ってでっち上げの記事を載せるつもりよ。『F4メンバー二人きりの日本隠密旅行』とか」
「あちゃー」
「しかも、ツーショットはどういう組み合わせでもいいらしいから、全員がターゲットよ」
 ヴァネスは目眩がした。
「これは絶対阻止しないと。後あと面倒なことになると思うの。何しろあんたたちって・・・」
 ヴァネスは柴姐が言いたいことが痛いほど分かった。
 ヴァネスの脳裏に昨日のチェックイン・カウンターでのやりとりが蘇った。
(どうしてあの時、俺はあの二人を隣同士に座らせてしまったんだろう?)
 だが、後悔してもどうにもならない。
「だけど、何で四人が一緒に東京に居るの?どうなってるのよ?」
「柴姐、それは、帰ってからゆっくり聞いてもらうよ。話の主旨はだいたい分かった。要はツーショットを撮らせなきゃいいんだね」
「その通り」
「でも、どうやって・・・」
「そんなの簡単よ・・・」

「と言う訳で、この旅行では二人きりになることは厳禁。一人、もしくは三人以上で行動すること。耳元のこそこそ話、目と目の会話も禁止、ボディタッチはもってのほか、いいね。阿旭、仔仔がふらふらしてても手をひいたりしちゃ駄目だよ。仔仔、今回ばかしは自立した行動をして貰うからな」
「ラジャー!!」
 手を後ろで組んで、「気をつけ、休め」の「休め」の状態で話を聞いていた二人は、ヴァネスに向かって敬礼をした。
 こうなった以上は全員ばらばらの個人行動しかないが、阿旭にひっつき虫を決め込んでいた仔仔の「初日から一人は不安」という言葉と、阿旭の「俺たちのどこがそんなに仲良く見えるって言うんだろう?」と言う、全く自覚のない言葉に、ヴァネスは今日一日だけは二人と行動を共にすることにした。
「歩く時はお互いに一定の距離を保ち、会話する時は三人で集まる。いいか、必ず被る様に重なって会話をする」
「了解」
「じゃ、今日の行動を確認する。朝食はとったね?」
 再び敬礼する二人。聞くまでもなく二人が朝食を食べ逃す筈がなかった。
「えっと、まずここは新宿。今日はこれから仔仔のリクエストにより地下鉄で浅草に行く。浅草では仲店通りを見て、お寺まで行き、お昼に仔仔のお目当ての「縁日のやきそば」を露店で食べる。おやつに、また、仔仔のリクエストのクリームあんみつを食べて、帰りは船で墨田川を下って、世界貿易センタービルに上り、そこで孝天と落ち合い、それから銀座で夕食を食べる」
「了解」
「でもヴァネス、どうして地下鉄なの?タクシーの方がいいんじゃないの?」
「それはな、仔仔、タクシーだとデカイ俺たちはどう考えても前に一人、後部座席に二人だ。後ろの座席だけ撮られたらそれでツーショットになってしまうだろ?」
「へぇ、さすがヴァネス。そこまで考えてるんだ」
(つーか、お前らも考えろよ・・・)

 三人はパパラッチ対策の為、毛糸の帽子を深く被り、それぞれ愛用のサングラスをはめた。そして、防寒対策の為、ダウンジャケットを着込み、ただでさえ肉厚なのに更に肉厚になって浅草へ向かった。
 しかし、本人達は目立たない様にしているつもりでも、デカイ身体にどう見ても異様なその格好と、一定の距離を保って歩いているかと思うと、急に集まり円陣を組む不審な動き。加えて、どうしても隠しきれない華やかな男前オーラの為に、行く先々で必要以上に人々の注目を集めた。

 一方、三人より一足先に出かけた孝天は、ヒゲも剃らずハーフポニーテール姿にサングラスで、アジア一のアイドルらしさを微塵も感じさせなかったが、小汚い格好であればある程男らしさが増し、流れ出すフェロモンも増量され、同じ車両に乗った婦女子の心拍数を上げ不整脈を引き起こしていた。

 三人は間もなくお昼になろうとする頃、浅草に着いた。
 2月の浅草は、観光名所とは言えさすがに寒さでお客の数もまばらだ。
 一行はまっすぐに雷門に向おうとした、が、思うように前に進めない。仔仔は食べ物屋のショーウィンドウを覗いては立ち止まり、駄菓子屋や露店の前ではおねだりを繰り返すし、阿旭はそんな仔仔をデジカメで激写し続け、そうでない時は広告用のティッシュを貰い集めるからだ。
 二人が立ち止まる度、自分も止まらなければいけないヴァネス。
(今日だけ、今日だけだからな、ヴァネス。我慢だ、我慢するんだ)
 ヴァネスは自分に言い聞かせた。
 その時、ヴァネスの携帯に孝天から連絡が入った。
 孝天とは今朝電話で話した後、連絡が取れなくなっていた。
「孝天!丁度良かった、話があるんだ。今どこだ?」
「え、俺?今、鎌倉」
「鎌倉~!?」
「緊急事態だ、今すぐ来い!!」と言いたいところだったが、鎌倉からの移動時間を考えると意味がなさそうだ。どうやら、今日はどうしても自分一人でこの二人の面倒を見るしかないらしい。
「話って何?」
「いや、いいよ。夕食の時話す。で、そっちの用件は?」
「あ、うん、大したことじゃないんだけど、もうすぐ12時だからそろそろ仔仔に昼飯食わせてやって。あいつ腹空かすと不機嫌になるからさ。それから、3時になったらおやつだから」
 ヴァネスのこめかみがピクピクと動いた。
「孝天」
「ん?」
「だったら今度から、弁当作って仔仔に持たせろ!!」
 ブチッ!!

2005'07'23(Sat)  sub :: ある日のヴァネース番外編:一週間 その3*  ある日のヴァネース 番外編:一週間*

 
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