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一週間 -その2-



  日本へ出発当日、予定の時間より早く空港に着いたヴァネスは、空港内のカフェでコーヒーを飲みながらガイドブックを見ていた。
(美味しいもの食べて、買い物して、クラブではじけて、一日くらい温泉に行ってもいいな。あ、フィギュアも見に行こう。何てったって一週間もあるからな~)
 そんなことを考えていると、「ヴァネス?」と、背中から聞き慣れた声がした。
「やっぱりヴァネス」
 ふと目をあげると、帽子を深く被りサングラスをかけた、いつもの海外出張スタイルの阿旭がいた。
「阿旭?!どうしたの?」
「日本に行くとこ。今年は日本進出だろ?だから、こうやって一人で自由に遊びに行けるのもこれが最後かも、と思ってさ。ヴァネスは?」
「俺も同じ・・・。阿旭、フライトは?」
 チケットを見せ合うと、何と二人は同じ便だった。
「偶然だな。じゃぁさ、阿旭の泊まるホテル教えといてよ。一回くらい食事にでも行こうぜ」
「いいねぇ」
 ヴァネスがメモ張を出そうとした時、サングラスに無精髭、胸元にはサル、そして、ヴィトンを斜め掛けにしてカートを押しながらずんずんと歩いて来る大男が・・・。
「孝天?」
「あれ、ヴァネス。阿旭も」
「まさか、孝天も日本行きだったりして・・・」
「も、って、もしかして二人も?」
「え?やっぱりそうなのか?」
「うん。ほら、今年日本に進出すると、一人で自由に街を歩き回って写真撮ったりできなくなるかもって思って」
「そっか。考えることはみんな同じだな」
 三人はちょっと照れくさそうに顔を見合わせて笑った。
 孝天は日本は慣れてるし、阿旭も初めてというわけじゃない。ヴァネスは、これなら同じ日本にいても、自分が二人の面倒を見る事もないし振り回されることもないな、と無意識のうちに思った。そう、あの世話のやける問題児さえいなければ・・・。
 その時、
「しゃおてーん!!」
「あの声は・・・」
ヴァネスは声の方を見た。
 両手いっぱいにお菓子袋をかかえ、ほっぺにエクボをつくりながら嬉しそうに走って来る、グレイのパーカーにジーンズ姿の大きな子供・・・。いや子供じゃない、仔仔だ!
「お菓子買ってきたー。待っててって言ったのに、いなくなっちゃっうんだもん。探したよぉ。ちゃんと僕の面倒見てよね。あれ、ヴァネス。阿旭も」
 ヴァネスの自己防衛システムに赤ランプが点灯した。
(出たな~、小童め)
「二人とも、何でここに居るの?」
「それは俺たちが聞きたい」
「僕と孝天は日本に行くんです~」
 仔仔は得意気に言った。
 孝天を見るヴァネス。肩をすくめて頷く孝天。
「え?ってことは、F4日本に全員集合?」
「最初は俺一人で行くつもりだったんだけど、仔仔がどうしても連れてけって言うからさ。向こうでは別行動って条件で」 
「だって日本進出したら、自由に日本に遊びに行けなくなるかも知れないし。僕、仕事でしか行ったことなかったから」
 恐る恐るヴァネスが孝天が手にした航空券を見ると、二人も自分と同じ便だった。
(・・・・・・・・)
 ヴァネスは悪い予感がした。
「聞きたくないけど、一応、聞いてみる。みんなホテルは?」
「新宿パークハ○ヤット!!」
 見事なユニゾンだった。
 がっくりと肩を落すヴァネス。言うまでもなく、ヴァネスも同じだった。
「なんだよ、俺たち」
 孝天が笑った。
「F4はやっぱり『離れていても心は一つ』何だね」
 ちょっと涙声の阿旭が言った。
「あ、懐かしい、その言葉」
 仔仔が反応した。
 この言葉は、デビュー直後、まだ慣れない芸能界で個人で活動する時に不安にならない様にと、四人が決めたF4の合言葉だった。
「ねぇ、せっかくだから、みんなで一緒に行こうよ」
 その言葉に、日本での個人行動に不安を持っている仔仔が、自分の子守り役を確保しようとしているのを、ヴァネスは素早く察知した。
「俺は予定があるけど、いいんじゃない?って、イテッ!何でつねるんだよ、ヴァネス」
「孝天、てめぇ、俺と阿旭に仔仔を押し付けようとしてないか?」
「ねぇ、二姐、いいでしょ?」
 仔仔は両手を組んでお願いのポーズでヴァネスを見つめた。
「駄目!!だいたい何で休みの日までメンバーと一緒に行動しなきゃなんないんだよ!!」
「だって、僕たち、同じグループじゃん?」
「語尾を上げるな!!それに、F4は団体旅行のグループじゃない!」
「いいじゃん。みんな一人より四人がいいって、いつも言ってるし」
「それは仕事の時!!」
「三人も仲間が増えて、ヴァネス嬉しくないの?」
「機内持ち込み荷物は二つまで何だよっっっ!!」

 ヴァネスの抵抗も空しく、結局、四人は一緒に行動することになった。
 決めては阿旭の言葉だった。
「じゃぁさ、こうしない?移動と夕食は一緒。あとはそれぞれ自由行動。どうせ同じホテルだし、一緒に移動すれば交通費の節約にもなる、夕食もみんなで食べた方が楽しいだろ。四人揃ってプライベートで海外旅なんてチャンス滅多に無いし、たまにはこういうのもいいんじゃない?」
 デカイ態度をとっていても、孝天が年上の阿旭に逆らうことは絶対にない。そして、それはヴァネスも同じだった。意外にもF4は(魂だけは)体育会系のグループなのだ。
 絶対三人の面倒は見ない、そう固く決心しながらも、出発前からトイレだの、売店だの、ママに電話だのと、じっとしていない三人の代わりに、チェックインをする羽目になったヴァネス。
(ここまで、ここまでだぞヴァネス。台湾を出たら一切面倒はみない。いいな)
 そう呟いて、こめかみがピクピクするのを押さえながら、チェックインカウンターへ向かった。
「いらっしゃいませ。東京まで4名様ですね」
「はい」
「お荷物は?」
「えーっと、壊れやすい物が1つ、取り扱い注意が1つ、大きな小動物が1匹」
「は?」
「あ、いや、何でもありません」
「お席は一緒が宜しいですか?」
「全部、ばらばらで結構です。っていうかばらばらにして下さい」
「みなさん、ばらばらですね。・・・・お客様、あいにくですが、殆ど席が埋まっておりまして、通路側席に縦二つ、通路を挟んで斜め後ろに並んで二つとなってしまいます」
「あ、じゃ、俺、一人にして下さい」
「俺も一人でいいや。どうせ着くまで寝てるし」
 トイレから戻って来た孝天が言った。
「じゃ、俺の前が孝天。通路を挟んで俺の斜め後ろに阿旭と仔仔が隣同士だな」
「いいんじゃない?」
「オッケー。じゃ、それでお願いします」
 しかし、後にヴァネスは、この選択が大きな間違いだったことに気づくことになる。

2005'07'22(Fri)  sub :: ある日のヴァネース番外編:一週間 その2*  ある日のヴァネース 番外編:一週間*

 
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