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夜子さんに捧ぐ
一週間 -その5-<後編>



 お山の上旅館についた四人は、ひとしきり旅館の庭の雪で遊んだ後、ふわふわと降り続く雪を眺めながら露店風呂でゆっくりと疲れを取り、浴衣と丹前に着替えた。
「はぁ~、気持ちよかった」
 頭には手ぬぐい、浴衣の袖を肩まで上げたヴァネスは、日本に来てからの疲れが全て取れた様な気分だった。
「露天風呂、いい眺めだったね」
 阿旭は頭に白いタオルでほっかむりをつくり、ご機嫌だ。
「前の山の木に仔仔みたいな小猿がいたよな。口にいっぱい食い物詰め込んでほっぺ膨らましてさ」
 たすき掛けで腕まくりの孝天は、露天風呂で熱燗を飲んですっかり血の巡りがよくなっていた。
「うふっ。可愛かったね~」
 首にタオルを土方巻きの仔仔は、頬がピンク色に上気していた。
(そして、言うまでもなく、全員、ゆかたの裾から膝下半分が出ていた)
「こんなにゆっくりしたのってどのくらいぶりだろうなぁ」
 阿旭が言った。
「温泉つかって、酒飲んで、旨いもん食って、最高だな」
 孝天も会心の笑みを見せた。
「あ~、お腹空いてきた。早く部屋に戻ろう!!」
 そういう仔仔を先頭に、四人はスリッパをパタパタとならし廊下をかけて行った。

 四人が自分たちの部屋、玉露の間に戻ると、広い部屋が襖で二つに仕切ってあり、手前側の部屋には掘りごたつの上に夕食が、ふすまを挟んだもう一つの部屋にはふかふかのお布団が四つ綺麗に並べて敷いてあった。
「すげー」
 ヴァネスが細い目を丸くした。
「何もかも準備してくれるんだ」
「飯も旨そう。懐石じゃん!!」
 食通の孝天が言うと、食いしん坊の仔仔も
「鍋もあるよ!!」
 とはしゃいだ。
「日本酒もある!!」
 結構飲んべえの阿旭も目を輝かせた。
「さすが、一等賞だね」
「じゃ、早速いただこうか?」
「うわ~い」
 阿旭の言葉に四人は席についた。
「じゃ、まずは乾杯だな」
 そう言うとヴァネスは当然のように、コップを孝天に向けた。何の抵抗もなく素直にビールを注ぐ孝天。阿旭には仔仔が注いだ。ヴァネスが孝天に注ぎ返し、仔仔がコップの底に手をそえ、お行儀よく瓶を持った阿旭に向けて差し出した。
 ガタイがでかく身体で飲む四人は、合わせるとかなりの酒量で、デビュー当時はいつも事務所から「支払いのことを考えろ!!」と叱られていた(一人だけ事務所が違った孝天の分は、取り敢えずリズが支払い、四で割った一人分を後で福隆に請求されていた)。だが、今日は事務所の人間は誰もいないし、おまけに、1時間はタイムサービスの飲み放題(居酒屋か~?)。そして、例え1時間を越えたとしても、中華圏で芸能ブランドとして頂点に上り詰めた四人には、庶民には幻のアメックスブラックカードがあり(しかし、実際携帯していたのはヴァネスだけで、他の三人は持って来てなかった)、心行くまで飲み倒すことができる。
「仔仔、飲み過ぎるなよ」
 飲むと酒癖が悪くなる仔仔にヴァネスは言った。実はF3は過去、そのせいでかなり迷惑をこうむっていた。
「ダイジョーブ、ダイジョーブ」
 覚えたての日本語で言いながら、仔仔は嬉しそうに手を振った。
(あの笑顔。こいつ、マジ飲みする気だな・・・)
 孝天と阿旭は、温泉の中でも既にかなりの日本酒を飲んでいた。ビール&洋酒党のヴァネスはまだそれ程お酒が入っていない。となると、阿旭と孝天は先に酒が回って寝てしまう可能性が高い・・・。と言う事は、仔仔の面倒を見るのは自分ということになる・・・。
(そんなのジョーダンじゃない・・・)
 だったら食べるもの食べて飲むだけ飲んで先にいい気分になってやろう。たまには俺の面倒を見ろってんだ。ヴァネスは思った。
「じゃ、みんなグラス持って」
 阿旭が音頭をとって四人はグラスを掲げた。
「日光温泉の旅、お疲れさま!!かんぱ~い」
「かんぱ~い!!」
 四人は一気に飲み干した。
「ふ~」←阿旭
「は~」←ヴァネス
「うまい!!」←孝天
「最高~」←仔仔
「じゃ、食事にしようか」
「うん!!」
 仔仔は待ってましたとばかりに、お箸を手に挟んだ。
「いってきまーす!!(いただきます)」
 そういうと、まずは大好物の鳥の唐揚げを口に入れた。
「仔仔、ずっと気になってたんだけどさ、いってきますって何だよ」
 ヴァネスがお刺身を口に持って行きながら聞いた。
「ヴァネス知らないの?日本の人はご飯食べる時、みんなこう言うんだよ。ね、孝天」
 孝天は下を向いてクククと笑った。
「孝天、何でそうやって仔仔に嘘教えるの」
 阿旭がため息をついた。
「だって、おもしれぇんだもん」
「もう・・・。仔仔、違うよ。ご飯を食べる前は『いってきます』じゃなくて、『いっときます』」
「え?」←V、天
「な~んだ、そうだったんだ。じゃ、『いっときま~す』!!」

 その頃、厨房では仲居のおばちゃんたちの間である事が話題になっていた。
仲居のおばちゃんその1、藤村さん「え?入れ墨?」
仲居のおばちゃんその2、伊藤さん「そうなのよ。偶然見ちゃったの」
仲居のおばちゃんその3、田中さん「あんな綺麗な子たちなのに・・・?」
「1人だけなんだけどね」
「どの子?」
「髪が長くて、なんかのっしのっし歩いてた・・・」
「あぁ、フロントでチェックインの時、お喋りしてる可愛い子に、靴はきちんと並べろとかスリッパ逆だとか言ってた・・・」
「そうそう、その子。番頭さんに言った方がいいかしら?」
「でも、そっちの方の子たちには見えないわよ」
「そうねぇ。で、どんな入れ墨?」
「確か、一方の肩はニコちゃんマークで(←陰陽図)・・・もう一方にはJなんとかって(←Jennifer)」
「J?」
「ジャパン?」
「あ、そうそう、そんな感じ。で、腰はニホンカモシカ・・・(←山羊座のヤギ)」
「日本ファン?」
「きっとそうよ。可愛いじゃないの~。日本が大好きで温泉に入りに来たんだね」
「そういうことか」
「いい子たちじゃない」
「嬉しいねぇ」
「いい子だ、いい子だ」
「じゃ、サービスで日本酒一本多めに持ってってあげようかね」
「そうだね。日本ファンだしね。喜ぶね、きっと」
「そうしよう、そうしよう」
「でも、Jでジャパンがわかるなんて、藤村さんインテリなんだから~」
「やめてよぉ。ちょっと商工会議所の英会話クラスに通ってるだけよぉ」
 何てこたーない。2004年に孝天が韓国でお忍びで食事に連れてって貰った時、料亭の仲居さんから厨房のおばちゃんまで女性従業員全てが「かっこいい人が来ている」と孝天を見に来た時と同じ様に、おばちゃんたちもすっかり男前4人組が気に入ってしまっていたのだった。後に休憩時間にわさびせんべいを食べながらワイドショーを見ていた時、四人が台湾のスーパースターF4として芸能ニュースで紹介されているのを見たおばちゃんたちが、おったまげてせんべいを喉に詰まらせそうになったのは言うまでもない。
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2007'12'17(Mon)  sub :: ある日のヴァネース 一週間 -その5-<後編>*  

一週間 -その5-<前編>



 ヴァネースは、走る列車の窓の外の景色を眺めながら、小さい頃から母親に言われていたことを思い出していた。

「健豪。あなたは長男なのに、どうしてそんなに落ち着きがなくってお調子者なの。よーく物事を考えて行動しないと、いつかとんでもない目に合うわよ」

(ママの言った通りだ・・・。俺は本当にお調子者のすっとこどっこいだ・・・)
 視線を隣にやると、孝天が自分の肩にもたれてフガフガと、向かいの座席では阿旭と仔仔がスヤスヤクピクピと重なる様に眠っている。

 ヴァネスは昨夜、部屋に戻ると温泉に着て行くための服を決める為、一人でファッションショーを繰り広げた。それから、シャワーを浴びて寝坊しない様にといつもより早くベッドに入った。だけど、自分では気づてなかったが興奮していてなかなか眠れず、ベッドの中で今日のことをあれこれと考えていた。

 明日、仔仔の奴、ちゃんと起きれるのかなぁ。何してるか知んないけど、帰ってきてからずっと孝天の部屋にいりびたって、まだ部屋に戻ってないみたいだし。いつもみたく夜通し話してんじゃないだろうな。だったら明日はギリギリまで寝てて朝食は抜きだな。まーた電車の中でお菓子食べまくるんだろうなぁ・・・。さっきも帰りにコンビニでお菓子買いまくってたもんなぁ。ったく、仔仔はいつまでたっても子供のまま何だから・・・。でも、ま、可愛いっちゃー可愛いけどな。最近、ちょっと生意気だけど。そう言えば、お菓子、みんな四つづつ買ってたな。きっとあれみんなに電車で配るつもりだぜ。やれやれ。
 孝天は朝は心配ないと思うけど、仔仔につき合ってたらわかんないな・・・。あいつも眠り姫だからな。温泉は山の上で寒いから寝不足で体調崩して喘息でなきゃいいけど・・・ま、あいつのことだ、俺が心配しなくてもちゃんと考えてるよな。明日は孝天も子供返りだな。あいつ大人ぶってても、四人だけになると急にガキみたいになっちまうし、仔仔と温泉ではしゃぎまくる姿が目に浮かぶぜ。でもまぁ、あいつを甘やかしてやれるのって俺と阿旭だけだからな。いいけどさ、根は可愛い奴だから。ふっ。
 阿旭は時間をきちんと守るし、問題はないな。さっき興奮して眠れないって電話がかかってきたけど、ま、寝坊することはないだろうし。けどまた、赤ん坊をあやすみたいに仔仔をかまいまくるんだろうなぁ。まぁ、山の上の温泉だとパパラッチもいないし・・・。あれが阿旭のストレス解消でもあるからな。ふふっ。  
 でも、あれだよな、又、仔仔がお菓子を一人一人に渡しながら「ちゃんと考えて二日で食べなきゃ駄目だよ」とか言って、俺が「その言葉、仔仔にそのまま返す」とか言って、阿旭が「せっかくだからみんなで何かして遊ばない?」とか言って、孝天が「言うと思った」ってトランプを用意してたりして・・・。
 はぁ~、仕方ねぇなぁ。でも、ま、つき合うか。せっかくの『一等賞、列車で行く温泉旅行』だしな。四人で揃って遊ぶってことも最近はなかなかなかったし。
 三人共、仕事の移動の時は寝てるくせ、こーいう時は興奮して元気なんだよなぁ。また俺だけ寝てたら、きっと三人から文句言われたり、悪戯されたりするから、さっさと寝て明日はあいつらの相手してやるか・・・。

(それが、こーだよ)
 ヴァネスは深いため息をついた。
(相手をしてやろう何て考えた俺が馬鹿だった。だいたい俺は一体、何の為に日本に来たんだよ。三人のお守りから解放され思い切り羽を伸ばす為じゃなかったのか・・・)
 頭の中に飛行場で三人に偶然会ってからのことが走馬灯の様に甦ってきた。
(何でこいつら全員こんななんだよ。人の苦労も知らないで・・・)
 とか何とか言いながらも、口を開けて寝ている阿旭が喉をやられないかと心配したり、夢を見ているのか阿旭の膝枕でウ~ン、ウ~ンと唸っている仔仔の顔を覗き込んだり、自分の肩にもたれ、何度もズレ落ちそうになる孝天の頭を手でそっと直してやったりするヴァネス。
(けど、仔仔の奴、たった一泊二日なのにすごい荷物だな)
 仔仔は巣鴨に背負って行ったリュックの他に、パンパンに膨れたヒヨコさん模様の大きな布袋を持っていて(小学校の頃からお気に入りで、体育着入れに使用していたもの。あちこちほころびがきていたが孝天に繕ってもらい再利用中)、それを大事そうに抱えて眠っていた。その袋を仔仔は今朝から誰にも触らせようとせず、中身を聞いても「うふふ」と笑うだけだった。
(まさかあれ、みんなおやつじゃないだろうな。でも、何か軟らかくてふかふかしてるんだよな・・・)
 そんなことを思いながら、軽く揺れる列車の中、一人窓の外を眺めていたが、朝早かったこともあり、とうとうヴァネスにも眠気が襲ってきた。
「ふわ~っ」
(まだお昼にもなってないし、俺も一眠りするかな・・・)
 そして、間もなくヴァネスも深い眠りについた。

 電車に乗って約2時間。やがてお昼になろうとするころ、体内時計でお昼を感じた仔仔が目を覚ました。
「う~ん」
 阿旭の膝から身体を起こすと、阿旭は窓にもたれ、向かい側の座席では孝天とヴァネスが寄り添う様に眠っていた。
(お腹空いた・・・)
 孝天の手首の腕時計を見ると、間もなく12時になろうとしていた。
 その時、車両のドアが開き、何やら美味しい匂いが漂ってきた。見ると、丁度、お弁当売りのワゴンがやって来るところだった。
「阿旭、お昼だよ・・・」
 仔仔は阿旭を揺すって起こそうとしたが阿旭はピクリともしない。
「孝天、ねぇ、孝天、起きてよ。お弁当買って。孝天ってば・・・」
 孝天もぐったりと死体の様に眠ったままだ。
「ヴァネース。起きて。お弁当だよ」
 三人は目を覚ましてくれないのにワゴンはどんどん近づいてくる。日本語は出来ないし、どうやって注文すればいいのか分からない。
(どうしよう・・・・)
「孝天、孝天ってば。お昼ご飯が行っちゃうよ!!阿旭、ねぇ、ヴァネース!!」
 しかし、ここで大事なお昼を逃す訳にいかない・・・。
 仔仔は勇気を振り絞り、腕を耳につけてまっすぐ高く上げた。長身の為、座高も十分に高い仔仔の手は校庭のフラッグポールの様に高く目立った為、お弁当売りのお姉さんもすぐに気づいたらしく、通路をやって来たワゴンは仔仔のところでぴたりと止まった。
「お客様、お待たせ致しました。何になさいますか?」
 にっこりと営業スマイルでマニュアル通りのお姉さんに、仔仔は眉を寄せ真顔で言った。
「ミ、ミートプリーズ・・・」

 飛行機の中と違ってミートもフィッシュもなかったが、仔仔は何とかお弁当を四つ確保することができた。
「みんな、起きて!!お昼だよ!!お弁当食べるよ!!」
「ン~」
 クンクンと鼻を鳴らし匂いに反応した阿旭がまず目を覚ました。
「ヴァネース、孝天!!」
 仔仔はヴァネスの肩を激しく揺すった。
「ふわ~。何だよ・・・」
「お昼だよ。お弁当食べるよ」
「あぁ?もうそんな時間?おい、孝天、起きろ、昼飯だってさ」
 ヴァネスは自分の肩で寝ている、孝天を肘でつついて起こした。
「う~ん」
 孝天は目を閉じたまま、迷が見たら失神しそうに色っぽいしかめっ面をしたかと思うと、逆方向に寝返りをうった。
「ほら、起きろ」
「仕方ないな~もう。孝天、朝だよ」
 仔仔は立ち上がって眠っている孝天の唇に、口づけるふりをした。
 その瞬間、孝天はパチッと目を覚まし、仔仔の顔を押しのけた。
「フニュ」
「・・・・・仔仔、今、俺に何しようとした・・・」
「ほ~らね。いっつもなんだよ。僕がチューしようとすると、必ず目を覚ますんだから。女の人だと平気なくせ~」
(い、いつも・・・?!)
 阿旭は驚いて仔仔を見たが、仔仔は全く意に介してない。
「お弁当食べよう。はい、マクノウチベントー。種類は違うけどみんな同じ値段だからね」
 仔仔はいそいそとお弁当をみんなに配り、席に深く腰掛けるとお箸を手に挟んだ。
「じゃぁ、はい。いってきまーす!!(注:いただきます)」
「仔仔・・・」
 ヴァネスが仔仔をジロリと見た。
「なに?」
「その弁当、いくつめだ?」
「え?」
 仔仔はギクっとした。
「い、いっこめ・・・」
「ふーん」
 三人の冷ややかな視線がに仔仔の口元に集中した。
「口の横にごはんつぶついてるぞ」
「え?」
 仔仔は舌で確認すると、舌先が覚えの有る小さな固まりを感知した。
「えーっとぉ、これは・・・」
「こいつは・・・・。あれほどパルコの仕事があるからダイエットしろって言われてるのに!!」
「だって・・・」
「だって、じゃない!!」
「でも・・・」
「でも、じゃない!!」
 実はさっきお弁当を売りに来た時、みんなが楽しみにしていた名物「トウゲノカマメシ弁当」の姉妹品、「オヤマノカマメシ弁当」を買おうとしたのだが、人気商品だけあって残りが後一つしかなかった。取り合いになるのを恐れた仔仔は、みんなを起こす前にそれを一人でこっそりと平らげていたのだった。
「いいじゃない、ヴァネース。今回は特別許してあげようよ。せっかくの列車の旅なんだから」
「ほら~」
 庇って貰って、仔仔は阿旭にぴったりと寄り添った。
「また阿旭はそうやって仔仔を庇う。甘過ぎだよ!!おい、孝天、お前からちょっと仔仔に説教してやれ!!」
 だが、孝天からは何の反応もない。
「孝天?」
 ヴァネスは孝天の顔を覗き込んだ。
「え?わりぃ、何だって?」
 孝天はさっきから自分のお弁当をじっと見つめたまま何かを考え続けていた。
「どうした?弁当がどうかしたのか?」
「うん・・・。なぁ、みんな、このお弁当、何かおかしくないか?」
「え?そう?」
 阿旭がクンクンと匂いを嗅いだ。
「そうじゃなくて、何か見た目が不自然なんだよ」
「見た目?」
 三人は孝天のお弁当を覗き込んだ。
「日本のエキベンは弁当職人さんたちが研究に研究を重ねて作ってるんだ。だから、味は勿論のこと、栄養のバランス、見た目にもとても気を使ってある」
 三人はうんちくたれの孝天の話に耳を傾けた。
「特に幕の内というのは、弁当界の最高峰と言われ、言わばその会社のお弁当の代表、顔みたいなもんで、それだからこそ、各社共に社運を賭け競って開発を続けている」
「うん、うん」
「だけど、この弁当には何かが欠けてる。揚げ物、煮物、蒸し物、野菜に肉類に果物。おかずの種類は豊富だし、一見バランスが取れている様に思えるけど、見た目が何だか地味なんだ。マクノウチってのは華やかな存在でもっとこう、そう目にも楽しく色どり良く並べてあるはずなのに・・・」
「なのに?」
「このお弁当には華やかさがない」
「華やかさ?」
 三人は顔を見合わせた。
「そういえば、お醤油っぽい色が多い様な・・・」
 阿旭が言った。
「華やかさを演出するのに重要な色・・・それは」
「それは?」
「黄色だ」
「黄色?」
「そうだ、黄色が足りない」
 何のことだかさっぱり分からないヴァネースはお弁当を見た。
「って言うと・・・」
「そう、阿旭が大好きな卵焼き・・・」
「え?」
 阿旭も自分のお弁当を見た。
「本当だ、黄色がない!!」
 ヴァネスも自分のお弁当をもう一度見た。
「俺のも!!」
 見つめ合う阿旭、ヴァネス、孝天。
「おい、孝天」
 ヴァネスがふと見ると、仔仔はさっきからお弁当の蓋を立てたままにしている。
 二人は頷き合って再び仔仔を見た。目を反らし、宙に視線を浮かせる仔仔。
「えーっと、僕、お茶買ってこよっかなぁ・・・」
 仔仔がお弁当を持ったまま席を立とうとしたその瞬間、
「ちょっと待った!!」
 ヴァネスの言葉を合図に、仔仔の向かいに座っていた孝天が長い足で通路への出口を遮った。
「俺たちの卵焼き取ったろ・・・」
「な、何言ってるの、ヴァネース?あっ!!」
 ヴァネスは仔仔からお弁当を取り上げ蓋をあけた。見ると白ご飯の隣に一つ(正版)、マカロニサラダの下に敷かれたレタスの後ろに三つ(盗版)卵焼きが隠されていた。
「こいつ!!孝天、押さえろ!!」
 孝天が逃げようとする仔仔を羽交い締めにすると、ヴァネスは立ち上がって、仔仔のこめかみを両手をグーにしてグリグリ~っと締め付けた。
「いたーい!!」
「俺たちのものだけならともかく阿旭からも取るなんて!!いつもお前を庇ってくれるのは、どこの誰なんだ?!え?」
「痛い~~~」
「謝れ!!」
「ごめんなさーいっ~」
「もうしませんは?!」
 孝天が腕を絞る。
「もうしませーん」
「もういいじゃない、二人とも。卵焼きくらい・・・」
 優しい阿旭は、又も仔仔を庇った。
「ほーら」
 仔仔は又、阿旭にぴったりとくっついて「ね~」という表情をした。
「俺のは返してもらう!!」
「俺のも!!」
 ヴァネスと孝天はそれぞれ一個ずつ卵焼きを奪還した。
「あー、僕の卵焼き~」
「俺たちの、だ!!」
 ヴァネスはそう言うと玉子焼きを口に放り込んだ。
「あっ!」
 又、孝天が何かに気づいた。
「どうした、孝天!!」
 孝天は立ち上がると、又、仔仔を羽交い締めにした。
「たこさんか?たこさんだったのか?!」
「な、何のこと・・・」
「しらばっくれるな!!」
「なんだ?」
「ヴァネス、俺の弁当をよく見ろ」
 ヴァネスは孝天のお弁当を見た。
「仔仔、白状しろ!!たこさんか?たこさんだったのか?!」
 孝天は、仔仔の首に腕を巻き付けた。
「う・・・。ち、違います・・・。な、斜めに三つ線・・・」
「たこさん・・・斜めに三つ線・・・このくぼみにかすかな赤み・・・。はっ!!ウインナーか?ウインナー何だな、孝天!」
「没錯!!」
「孝天!!」
 阿旭も自分のお弁当に異変を発見したらしい。
 黙ってお弁当箱のふたを、仔仔を羽交い締めにしたままの孝天の鼻先に持っていった。
「こ、この残り香は・・・!!」
 阿旭は頷いた。
「うささんか!!うささんだったのか!?」
「うささん?はっ!りんご、りんごだな、阿旭」
 ヴァネスもふたの匂いを嗅いだ。眉間に皺をよせ頷く阿旭。
 孝天が更に締め上げる。
「う、く、苦しい」
「仔仔!!どうなんだ」
「う、うささんでした・・・」
「仔仔~~~~!!」
「孝天しめろ!!泣かしていいぞ!!」
「白兎の阿旭からうささんリンゴを取るなんて」
「あーん、ごめんなさーーーい」
「阿旭も言ってやれよ!!」
 ヴァネスが言った。
「でも・・・」
「そうだ、言う時には言わないと。甘やかしてばっかじゃ駄目だ!!」
 孝天も言った。
「ごめんですむなら警察はいらねぇ・・・(超小声)」
「分かったか!!くのぉくのぉくのぉ~~~」
「じゃおでん、ぐるじ~~。だずげで~~~」

「ママー。あのお兄ちゃんたち何してるの?」
 狭い座席でお弁当をめぐって子供の様な小競り合いをする四人。ただでさえ大きな身体とただごとでない男前ぶりで目を引くのに、今時にない騒々しさにいつの間にか車内の視線が集まっていた。 
 駅弁ごときで、子供の兄弟喧嘩としか思えないレベルの低い争いを繰り広げている四人組が、アジア中で億というお金を稼いでいて、やがてアジアの最強カレンシー、円もがっぽり稼ぐことになる若者たちだとは車内の誰も想像すらしていない。
「あの可愛いお兄ちゃんが、他のお兄ちゃんのお弁当のおかず食べちゃったんだって。大きいのにおかしいわねぇ」

「三人とも座って・・・」
 回りの気配に気づいた阿旭の言葉に、ヴァネスと孝天は仔仔を睨んだまま座席に腰掛けた。
「仔仔のせいだからな!!」
 小声でなじるヴァネス。
 仔仔は視線を反らし、口をヘの字にして反省の様子はない。
「何だよ、その態度!!」
 ヴァネスは仔仔の足を軽くつついた。
「いた~い」
 生意気にも上目使いでヴァネスを睨みつけ、つつき返す仔仔。
「こいつ!!」
「蹴んなくてもいいじゃん」
「言ってもわかんないからだろ!!」
 仔仔は目に涙をいっぱいにためた。
「あー、駄目駄目。そんなの嘘泣きだって分かってるんだから」
 全く相手にしないヴァネス。
「もう、いいからとにかく食べよう。仔仔、もうこんなことしちゃ駄目だよ」
 阿旭が諭す様に言った。
「うん。ごめんね、阿旭」
 仔仔は例によってヴァネスにつーんとして、阿旭にだけしおらしく謝った。
(あ、また!!こいつ~~~)
「孝天、後で仔仔によーく説教しとけ!!」
「今度やったら玉子と一緒に温泉に沈めるからな」
 それを聞いた仔仔は、ビクっとして、孝天と目を合わせない様にこそこそと背を向けてお弁当をかきこんだ(←自分の飼育係の孝天が、実は誰より怖いらしい)。
 
 やがて列車は目的の駅に着いた。
 あれだけのバトルをやっても、結局は仲が良い四人。お弁当を食べて一眠りすると、まるで何もなかったかの様に元通り、和気あいあいとすっかり元の仲良しに戻ってはしゃぎながらホームに降り立った。
「着いた~!!うわ~、雪が積もってる~」
 仔仔が言葉を発すると息が白くなった。
「うわ~、寒みぃ~~~!!」
 LA出身で寒さに弱いヴァネスが身を縮めた。
「早く温泉に入りてぇ!!」
 基礎体温が高く普段は暑がりの孝天も思わず震え上がった
「温泉につかって熱燗で一杯やりたいな」
「お、いいねー」
 孝天の言葉にヴァネスがすぐさま同意する。
「僕もー!!」
「なに言ってんだよ。おちょこ一杯で酔っぱらっちまうくせ」
「そーそー。仔仔はマミーにしとけ、マミーに」
「なんだよぉ。そうやっていっつも二人で僕をのけものにするんだからぁ」
「ほら、ほら。いいからとにかく早くお迎えのバスを探そう。このままじゃ寒過ぎるよ」
 阿旭が年長らしく三人を促した。巣鴨とはまるで別人だ。
「ねぇ、阿旭、あれじゃねぇの?」
 孝天が『お山の上旅館』とかかれた小型バスを見つけて指差した。窓ガラスに『F4御一同様』というはり紙も見える。
「本当だ。良かった~。早く乗っちゃおう」
 阿旭を先頭にヴァネスと孝天が続いてバスに乗り込んだ。
「暖房が効いててあったかーい」
「まるで、天国だ」
「温泉はもっと天国だぜ」
 見渡すと車内には自分たち以外誰もいなかった。
「やった、貸し切りじゃん」
「じゃ、俺、ここにしようっと」
 阿旭は一番後ろの広い席にどっかと腰を降ろした。
「バスなんて乗るの、久しぶりだよ」
「じゃ、俺、阿旭のとーなり」
 ヴァネスが阿旭の左隣に座った。
「じゃ、俺、その反対のとーなり」
 こうして三人は一番後ろの席に並んで座った。
「あれ。孝天、仔仔は?」
「お菓子買いに行ったんじゃねぇの。何か昨日、ここの駅にしか売ってないお菓子があるんから着いたらまずそれ買うって言ってたから」
「ふーん」
 暫くすると、寒さと嬉しさで頬を赤く上気させた仔仔がバスに乗り込んできた。
「みんなー、オヤマノオンセンポッキー、あった~!!最後の一個だったんだよ~。超ラッキー。良かったぁ~。あれ・・・」
 仔仔は一番後ろの座席に阿旭を真ん中に仲良さそうに座っている三人を見た。普通だったら大人でも軽く四人は軽く座れそうな後部座席だが、大きな三人が並んで座っている為、孝天の隣にやっと子供が一人座れる程度しか空いてない。どうみても仔仔の座れるスペースはなかった。
「あ、仔仔。俺たちだけみたいだから、席、好きなとこ座ったら?」
 ヴァネスは、お弁当の仕返しとばかり、ちょっと意地悪く言った。
 仔仔は、少しの間そこに立ち尽くしていたが、口をキュッと結ぶと、孝天の前に立ち、身体を横にして無理矢理孝天の膝をまたぎ始めた。
「何だよ、もう」
 孝天は自分の目の前に来る仔仔のリュックを身体を反らしてよけながら顔をしかめた。
「無理だってば」
 しかし、仔仔は聞く耳もたず、身体を孝天と前座席の間にグイグイと押し込んでくる。
「あーもう!!ケツこっちに向けるなよ!!」
 仔仔は聞こえない振りで、孝天の隣に腰を下ろした。
「よいしょっと」
「仔仔ってば!!」
「わぁ、いいお天気~」
 孝天が呼んでも知らんふりで外を見ている仔仔。
「ケツ!!重いってば!!」
 スペースにおさまりきらない仔仔のお尻は、半分孝天の膝の上に乗っかっていた。
 孝天が肘で押しのけようとするが、背を向けたまま聞こえないふりで外を眺める仔仔。孝天の膝の上にハンケツのまま、動こうという気は全くない。
 ヴァネスはそんな二人を眺めながら、くくっとほくそ笑んだ。
(お子チャマどもめ)
「もう、ほら、二人とも喧嘩しないで」
「いいじゃん、阿旭。あいつらは放っておこうぜ」
 実は実生活で長男のヴァネスには、一番身近な年上の阿旭に対して兄に憧れる様な特別の思いがあった。本当は普段からもっともっと阿旭に甘えたり、遊んで貰ったりしたかったのだが、二番目に年上としては暗黙のうちに年下の二人に阿旭を譲ることが少なくなかった。
 仔仔は言うまでもなく、一見、距離を置いてる様に見える孝天も、偉そうにしながら何も言わずそういう態度を許してくれる阿旭に無言で甘えているのだ。
 そんなわけで、ヴァネスはここぞとばかりに阿旭を独占しようとした。
「あのさ、又、一緒に鍋食いに行かない?」
「え?あ、うん。そうだね」
「友達が美味しいところ見つけたんだけど、場所聞いたら阿旭のマンションの近くでさ」
「へぇ、そうなの?」
「うん、美味しくて値段も手頃らしんだ」
「いいねぇ」
「今度、仕事が空いた時にでも連絡するよ」
「うん」
 ところが、それを聞いた孝天と仔仔も「俺も!!」「僕も!!」と参戦してきた。
「何だよ、人の話にかたってくんなよ。俺は阿旭と話してるの」
「えー、ひどーい。僕も鍋食べたい」
「仔仔は孝天にカレー作って貰え。お前ら仲良しだろ?子供同士、ままごとでもしてろ」
「自分ばっか、ずりーよ。俺だってたまには外食して阿旭とゆっくり話したいよ。なかなか仕事でも一緒になれないしさ。仔仔とは毎日会ってるからもういいよ」
「もういいって、何だよぉ」
 仔仔は口を尖らせて、孝天に身体を寄せてきた。
「もう、またそうやって押してくんなってばー」
 仔仔はぐんぐん身を乗り出して、もはや孝天に半ケツどころか抱っこ状態だった。
「重いんだってば!!」
「じゃ、孝天、別の席に行ったらぁ?」
「何で俺が席を変わんなきゃなんないんだよ。自分が後から来たくせ。俺たち三人のお尻は小ちゃいの。仔仔だけ大きいんだから、仔仔があっち行けよ」
「大きくないもん、普通だもん!!三人が小さいんだもん」
「でも、仔仔が一番大きいんだから仔仔があっち行ってよ」
「あっち行けって人があっち行けばいいんだよ」
 そう言いながら、又、ぐいぐいと押す仔仔。
「あー、もう、お前ら押すなよ!!」
 仔仔が押すので、端っこにいるヴァネースも壁にぎゅうぎゅう押しやられている。
「もう。いいよ、じゃぁ、俺があっち行くから」
 阿旭が長男らしくそう言って、席を立とうとした。
「え、駄目だよ!!阿旭はここ」
 ヴァネスは慌てて言った。
「そうだよ。後から来た人が悪いんだ」
 孝天も阿旭を引き止める。
「仔仔~!!」
 ヴァネースと孝天は仔仔を睨みつけた。
 仔仔は、フイと顔を背けた。

 そうやっている間に、このバスの運転手らしいおじさんが乗り込んできた。
 運転手さんは、座席を見る事もなく席についたかと思うと、何も言わず自動ドアを閉めクールにエンジンのキイを回した。
 ガガガガガ・・・ブワーン、ブワーン
「あれ?」
 アクセルを踏み込こむが、何かがいつもと違う。
 ブワーン、ブワーン・・・
 どうやら前輪が地面にしっかりとかみ合ってないらしい。
 運転手さんは振り返って座席を見た。すると、席はガラ空きなのに四人の大きな若者たちが、後部座席にぎゅうぎゅうになって座っている。
 運転手さんは首を振った。
 「お兄ちゃんたち、駄目だよ。そんなでかいのが四人も後ろに固まって座っちゃ」
 バスは後部座席に座った四人の重みで前輪が浮き上がり、ウィリー状態になっていたのだ。
「ほら、前にきて」
「運転手さん、何か言ってるよ」
 阿旭が気づいた。
「おい、孝天。おじさん、何て言ってんだ?」
 例によって取り敢えず孝天に聞くヴァネス。
「前に来いって言ってるみたいだけど・・・」
 拗ねて窓の外を見ている仔仔以外の三人は顔を見合わせた。
「どうする?」
「仕方ない、前に行くか?」
「そうだな・・・」
 そう言うと、三人は立ち上がり、バスの中程の席に移動した。今度は阿旭を真ん中に前の席にヴァネス、後ろの席に孝天と一人づつ席を陣どった。ハッと、その様子に気がついて慌てて三人の後に続くが、またも出遅れる仔仔。仕方なくヴァネスの前の席についてみんなのいる後ろを向いて座った。
 しかし、運転手さんは又、ため息をついた。
「駄目駄目。そんな四人共同じ側に座るとカーブでかたむいちゃうだろ。ほら、お兄ちゃんとボクはこっち」
 そう言うと、運転手はヴァネスと仔仔を反対の席に振り分けた。
(ちぇっ、何で俺がこっち何だよ。あ~あ、阿旭と離れちゃったじゃんか)
 チラっと後ろを向くと、仔仔がヴァネスの席の背もたれに抱きついて、エクボを作り目をキラキラさせながらこっちを見ていた。旅館までの自分の子守り係はヴァネスだと認識したのだ。
(は~)

 やっとバスは動き始め、あまり広くない山間の道を上って行った。ヴァネスが窓の外を眺めていると田んぼや民家の瓦には雪が積もっているのが見えた。車内では阿旭と孝天は何やら楽しそうに話をしている。
「ヴァネース、お菓子食べる?」
 仔仔が後ろから話かけてきた。
「いや、いい」
「じゃ、しりとりする?」
「し・な・い」
「じゃぁねぇ」
 そう言うと、仔仔は指でヴァネスの背中に何かを書き始めた。
「あー、もう。仔仔、背中触るな。こそばいってば」
 ヴァネスは鬱陶しそうに言った。
「この字、なーんだ」
(・・・・・・)
 ヴァネスは黙って席を立ち上がり、孝天の前に立った。
「何?」
「席代われ」
「なんでだよ」
「いいから、仔仔の子守りしろ」
「何だよー。俺、久しぶりに阿旭と話ししようと思ったのにぃ」 
 口では言いながらも、しぶしぶとヴァネスの言うことをきく孝天。交代した席にドスンと腰を下ろし、不機嫌そうに前髪を右手で掻き揚げた。そんな定番の子守りを笑顔で迎える仔仔。
「仔仔、ヴァネスに何したんだよ?」
「何もしないよ。僕が出した問題が分からないからスネちゃったんだ。本当に子供なんだから」
「んなわけないだろ!!」
「車内では静かに!!」
 ヴァネスの大声に運転手さんから注意がとんだ。
「あ、對不起・・・」
「あーあ、怒られちゃった。ヴァネスのせいだからね」
「のぁにぃぃぃ~~~!!ほんとに泣かされたいのか、おまえは~~~!!」

 こうして、又もきゃいきゃいと小競り合いを始めた四人を乗せ、やや孝天+仔仔サイドに傾いたバスは、山道を走り今晩の宿『お山の上旅館』に到着した。

注:このストーリーは作者の妄想による、完全なフィクションです。

ある日のヴァネース一週間 
-その5-<後編>へ


2005'11'30(Wed)  sub :: ある日のヴァネース番外編:一週間 その5<前編>*  

ヴァネス来日感謝記念!!
一週間 -その4-



「なぁ、孝天。何か俺、ヨーダが沢山見えるんだけど」
 ヴァネスは目の前に広がる光景を見て、そう言った。
「ヴァネス、あれはヨーダじゃないよ。おじいちゃん、おばあちゃんだよ」
 ヴァネスが、よーく見ると、それは確かに楽しそうに歩くお年寄りたちの姿だった。
 
 F4は今日からいよいよ本格的な個人行動。プライベートで何度も日本に来ていて、一人旅の経験もある阿旭、ヴァネス、孝天にとっては、どうってことない個人行動。しかし、仔仔にとっては「はじめての一人歩きin Japan」。未知の世界に対する不安と緊張は隠せない。昨日の夜から何度も呪文の様に今日の行動を復唱しては確認していた。阿旭は、そんな仔仔を一人で外に出す事が不安で不安で、本人以上に緊張しまくり、昨夜は一睡もできないし、今朝も胃痛は起こる、食べたものは全部もどす、という始末だった。
 そんな阿旭を見かねた孝天は、今日一日、阿旭と一緒に仔仔を尾行すると言い出した。
「仕方ないだろ。このまま放っておくわけに行かないし・・・。あの様子だったら、夜、仔仔が帰って来るまであの状態って感じだもん。だったら、仔仔の行動を見てる方が阿旭も気が楽だろうし」
  確かに孝天の言う通りだった。
「そうだな・・・じゃ、そうして貰うか。お前が一緒なら、俺も安心だし」
 ヴァネスは「まかせるぜ」と、ねぎらう様に孝天の背中をポンポンと叩いた、が・・・。
「何言ってんの?ヴァネスも一緒だよ」
「へ?」
「当たり前だろ?だって、俺と阿旭だけじゃ、ツーショットになっちまうじゃん」
「ジョ、冗談だろ?!俺は昨日も一人で二人の面倒見て、たった一日で十年くらいいっぺんに年取ったみたいな気分なんだよ!!」
「また、大げさなんだから」
「本当だって!!」
「いいのか?俺達がツーショット撮られたら、それこそ昨日のヴァネスの苦労が水の泡になんだぜ」
 孝天はヴァネスに詰め寄った。
「う・・・」
 確かに、一番あり得ない組み合わせでも、今の中華圏のマスコミならどうとでも記事を捏造するだろう・・・。
「いいじゃん。今日一日仔仔をつけて、仔仔が一人で行動できると分かれば、阿旭も明日から安心して仔仔を放っておけるだろうし。なにより俺達の為になるんだぜ。それだったら今日一日くらい。それに、休みはあと4日もあるんだし・・・」
「けど!!」
「アニキ」
「いや、駄目だ!!俺は今日、下北沢に古着を見に行くんだ!!行くならお前一人で・・・」
「あーもう!!ほら、わがまま言ってないで、行くぜ!!」
 孝天はその長い腕を、ヴァネスの首に蛇の様に巻き付けた。
「NO~~~~!!」

 と言うわけで、ヴァネースはあたあたと引きずられ、阿旭と孝天と仔仔の後をつけ、JR巣鴨の駅にいた。
(呪われてるな、俺、絶対・・・)
 ヴァネスはつぶやいた。
「けど孝天、仔仔、何でこんなとこに来たんだ?」
 巣鴨。それはおばあちゃんたちの原宿として、日本ではあまりにも有名だ。くすんだ色の風景、まったりとした街全体のスピード。まさに熟しきった大人の為の定番スポット。どう考えてもまだ二十代前半の仔仔が来る様な場所じゃない。
「って言うか、よく知ってたよな、巣鴨なんて」
「それは、俺がこなかけといたんだよ」
「?」
「俺も仔仔を一人で行動させるの不安だったから、旅行前からそれとなく、『前日本に行った時、巣鴨が面白かったな~』とか『やっぱ日本を知るなら巣鴨だよな~』『今時、渋谷、代官山はダサイ、通はみんな巣鴨だぜ』とか吹いといたんだ。『巣鴨には日本の文化やふれ合いがあって、美味しいものもあるし、お土産も豊富。日本の縮図みたいなところだ』って。巣鴨は前にちょっと来たことあって、どんな街か分かってたから、ここなら安心だと思って」
 確かに、巣鴨は危険な香りは一切しないし、余計な緊張感もない。おまけに、新宿からJRで乗り換えなしで一本。線を間違うこともない。それに、ここなら例え仔仔が迷子になっても、お年寄りの扱いになれている優しいおまわりさんもいるだろう。まさに、日本を熟知した孝天ならではのナイスチョイスだった。
「でも、まさか本当に来るとは思わなかったよ」
 孝天は首を振った。
「仔仔、真似っ子太郎だからな。すぐ影響されるし」
 二人は頷き合った。
「ところで阿旭は?」
「あそこ」
 孝天が親指でクイクイッと指差す方を見ると、商店街の入り口で、視線の照準が仔仔だけに自動ロックされている阿旭が、電柱の影からその姿を見つめていた。
(・・・・・)
 とてもじゃないけどファンには見せられる姿ではない。ヴァネスは憂鬱になりながらも、孝天と阿旭に合流し、阿旭の後ろから仔仔の様子を覗き見た。
 仔仔はあたりを珍しそうに見渡し、エクボを浮かべながらてくてくと歩いている。まずは、ここまで一人で来れたことに満足しているらしい。
 以前は神社へ続く参道だったであろう商店街の中、いろいろなお店を覗きつつ年寄りたちに混じって、人の流れに沿って楽しそうに歩く仔仔。背中に背負ったリュックのフックには、クマさんのマグカップ、ミッキーマウスの方位磁石(ミッキーの指が北を指す)、ロープ、懐中電灯などがぶら下がっている。
(誰を救助するつもりだ、あいつは・・・)
 ヴァネスはため息をついた。
 仔仔が視界から遠くなると、阿旭は仔仔に引き寄せられる磁石の様に歩き出し、その後を孝天が追った。
「ほら、ヴァネス、行くよ!!」
(へいへい・・・)

 三人は阿旭を先頭に一列になって、ダウンジャケットで膨れ上がった大きな身体を丸め、物陰にこそこそと身を隠しながら仔仔の後をつけて行く。かっこつけマンのヴァネスには、かなり不本意な格好だ。本当だったら、今頃、下北沢を楽しく颯爽と歩いてるはずだったのに・・・。
(何だって俺がこんなコソ泥みたいなことやんなきゃなんないんだよ。だいたい、仔仔が甘ったれでいつも人に頼ってるから、いざという時こーいうことになるんだ。それに、阿旭は甘やかし過ぎだし、孝天も面倒見過ぎなんだよ!!)
 そう考えると、だんだんと腹ただしくなってきた。
(仔仔め、覚えてろ。帰ったらあいつのお菓子、全部隠してやる・・・)
 暫くつけていると仔仔はメインの通り脇にある、有名な『とげぬき地蔵』のある神社に入った。
「行動目標その1。『日本の文化に触れる』だな」
 孝天が言った。
「何それ?」
 孝天はダウンジャケットの下のサルパーカーのポケットから一枚の紙を取り出した。
「これだよ」
 ヴァネスが覗き込むと、そこには仔仔の達筆で今日の目標が書かれていた。

 今日の目標 
 一、日本の文化に触れる
 二、美味しいものを食べる
 三、地元の人と交流する
 四、お土産を買う
 五、全部一人でやるっ!!

「出発前に仔仔が提出して行ったんだ。昨日、寝る前に何事にも具体的な目標をたてて、一つ一つクリアして行けば、何だってできないことはないんだぞって言い聞かせたら・・・」
(・・・又、説教ぶっこいたんだな・・・)
「とにかく、これを一人で全部クリアできれば仔仔の個人行動は合格ってわけだな」
「そういうこと」

 三人は神社の木の陰から仔仔の様子をじっと見守った。
 仔仔はちょっとうつむき加減に、お行儀よく列に並び、自分の番が来るのを待っていた。しかし、小さなお年寄り達の中で、若くて大きく、しかも、プレリードックの様に愛らしい仔仔は、周囲から好奇の目で見られている。仔仔自身もそれを感じているらしく、落ち着かない様子で、わざと空を見上げたり、読めもしない案内の説明を読んでいるふりをして頷いたり、居心地が悪そうだ。
 順番が来ると、仔仔は前の人の見よう見真似で、ぎこちなくひしゃくで水を汲んで手を洗い、キョロキョロとしながらお地蔵様の後ろに回った。
「孝天、あれ何だ?」
 こういうことは雑学博士の孝天の得意分野だ。
「あれはトゲヌキジゾウって言って、あのお地蔵様の身体の自分の患部と同じところを触ると、そこが良くなるって言われてるんだ」
「へー。でも、仔仔に悪いところなんてあったっけ?」
 ヴァネスは不思議そうに言った。
「いや、健康そのものだと思うけど・・・。でも、何で後ろに・・・?」
 孝天も首を傾げた。
 見ていると、仔仔は辺りを気にしながら、そっとお地蔵様のお尻をなでた。
「気にしてたのか?」
「ヴァネスが真似したりするからだよ」
 ヴァネスはよく「仔仔の真似」と言って、お尻を突き出してからかっていた。
「今度は前に回った。手を触ってる」
「あいつだけ、ぷっくりだからな・・・」
 納得した口調のヴァネス。
「あ、今度は身体全体をなでるように触ってる」
「努力しないで痩せようとしてるな。せこい奴め」
 そして、阿旭は仔仔のそんな様子を涙ぐみながら見つめ、うんうんと頷いてはひたすらカメラに収めていた。(しかし、デジカメのバッテリーを充電するのを忘れた為、使っているのはキオスクで買った「写ルンです(望遠付き)」)

 お地蔵様と境内の神様に手を合わせた後、仔仔は神社の中の露店を見て回り、駄菓子とお守りをいくつか買い、お地蔵様を後にして、横にある小さな出口から路地へ出た。
 その後、仔仔は有名なカレーうどんのお店でお昼を食べ、デザートに買った薬草ソフトクリームを食べながら、再び通りを歩きだした。
「目標その2『美味しいものを食べる』もクリアだな」
 孝天がメモに線を引いた。
「でも仔仔、通な食べ物知ってるな」
「いや、あれも俺が教えたんだ」
 実は、真似っ子仔仔は、以前聞いた孝天の話を、全てそのままなぞっているのだった。
「あれ、そう言えば、阿旭は?」
 さっきまで先頭をきってつけていた阿旭の姿が見えない。
「大丈夫、あそこにいるよ」
 阿旭は仔仔とおそろいの薬草アイスクリームを買っているところだった。
 本当は一緒に並んで歩きながら食べたかったのだが、それが出来ない今、せめて同じものを口にしながら仔仔の後を辿ろうというのだ。
「ハジュメマシテ。ワタシエフスノジェリデス。アイスヒトチュ、ヨロシクオネガイシマス」
 真面目で礼儀正しい阿旭は、注文の際に笑顔で自己紹介と握手も忘れてなかった。
 
 次に仔仔が入ったのは老舗のお茶屋。無料で試飲をさせてくれるので、いつもお客でごった返しているお店だった。
 三人は、お茶屋の前の甘栗屋の屋台の影にかがんで様子を伺った。
 阿旭はいつも背負ってるデカいデーパックから、仔仔の毛穴まで見えそうな光化学ズーム100倍の双眼鏡を取り出した。
「阿旭、そんなもの・・・」
「ヴァネス」
 孝天が言葉をさえぎった。
「好きにさせといてやろうぜ」
 しかし、屋台の陰から5メートル先の店内を双眼鏡で覗くその姿はあまりにも怪しかった。

 仔仔は、お店に入ると早速カウンターにお茶を取りに行った。
 お茶を受け取ると、「謝謝」と蚊の鳴くような声で言い、休憩所の空いている席を探してそこまで行こうとした。だが、運んでいるうちにお茶がちゃぷんちゃぷんとこぼれ出て、席に着く頃にはコップは空になってしまった。仔仔は暫く空になった紙コップの中を見ていたが、仕方ないな、という風に口元をきゅっと結んで、又、カウンターへ戻った。
 再びお茶を受け取ると、今度はこぼれない様にそろ~りそろ~りと歩いた。だが、入れ替わり立ち代わりお茶を取りにくる人にボンボンとぶつかり、又も、お茶が全部こぼれ出してしまった。又、空になった紙コップの中を見る仔仔。
(あー、もうっ、何やってんだよ!!)←ヴァネス
(どんくせぇ・・・)←孝天
(仔仔、加油!!)←阿旭
 勇敢にも三度、カウンターへお茶を取りに戻ったが、今度は人にぶつからない様に急いで歩いた為、又ちゃぷん、ちゃぷんとこぼしてしまう仔仔。
 すると、そのあまりのトロさに見かねたお店のおばさんが声をかけてきた。
「ちょっとお兄ちゃん、大丈夫?さっきから見てたけど、こぼしてばっかで・・・。もう、おばちゃんがお茶取って来てあげるから、あんたはそこ座って待ってなさい!!」
 仔仔は何を言われているのか分からず、きょとんとして立ち尽くしていたが、おばさんがお茶を持ってきてくれたことで、漸く意味を理解した。
(仔仔・・・、人の世話にならずにはいられない奴・・・)三人は同時にため息をついた。
「はい、お茶。これはお茶請け。特別だからね」
「アリガト」
「どーいたしまして。あら?服がお茶で濡れちゃってるじゃないの。全く、この子は・・・その濡れたままのズボンじゃ風邪ひいちゃうわよ。ちょっとこっちいらっしゃい」
 お茶屋のおばさんは、仔仔のおやつのお茶とお菓子を持って、手招きをして店の奥へ仔仔を招き入れた。
「おい、孝天、あのおばさん、どこに連れて行く気だ?」
 分からない事は、一応、何でも孝天に聞いてみるヴァネス。
「さぁ?」
 と、突然、阿旭がフンフンと鼻を鳴らして立ち上がった。
「仔仔!!」
 そう叫ぶと、どこかへ向かってもの凄いスピードで走って行った。
「阿旭、どこに行くんだよ!!」
 すると、
 ダーン!!ダ、ダーン!!カカカ・・・。ダダダーン!!ダン、ダーン!!カカカ・・・。
 何かがスザマしい勢いで、板の様なものに突進している様な音が聞こえてきた。
 ヴァネスと孝天は顔を見合わせた。
「裏だ!!」

スレッド:自作小説 // ジャンル:小説・文学

2005'09'28(Wed)  sub :: ある日のヴァネース番外編:一週間 その4*  

一週間 -その3-



 ヴァネスは朝、一泳ぎしてプールサイドで朝食を取っていた。
 昨日は、夜8時過ぎ頃成田に着いて、そのまま真っすぐ新宿のこのホテルへ向かった。
 ホテルに着いたのは既に11時近かったので、チェックインして各自それぞれ部屋でシャワーを浴び、翌日からの楽しい観光に向けて早めに眠りに就いた。
 広いベッドでぐっすりと眠れて今朝の目覚めも良く、ヴァネスはとても気分が良かった。
(今日は阿旭が仔仔の面倒を見るって言ってたな。浅草だっけ。孝天はどうすんだろうな。何もないと思うけど、一応予定を聞いとくか)
 ヴァネスは孝天の部屋に電話を入れた。
 トゥルルルルル・・・トゥルルルルル・・・。
(孝天の奴、まだ寝てるのかな)
 電話に出る様子がないので、ヴァネスは携帯を切った。
 と、そこへ携帯の着信音が鳴った。発信者は孝天だった。
「よぉ、孝天、起きたか?」
「何言ってるんだよ、とっくに起きてるよ」
「え?じゃ、何で電話に出なかったんだよ。俺、今、お前の部屋に電話入れたんだぜ」
「だって、俺、今部屋じゃないもん」
「部屋じゃない?じゃ、どこいんだよ」
「築地」
「築地だぁ?」
「うん。朝飯食ってるとこ。俺さ、今日はこのまま街を適当にブラブラして写真撮ったりしようと思ってるんだ。夜には帰るからさ、晩飯の場所決まったら連絡してよ」
「いいけど。なぁ、あいつら大丈夫かな」
 何だかんだ言っても優しいヴァネスだ。
「大丈夫だよ。子供じゃないんだし。日本は世界一安全な国だし、二人共あのデカイ身体だ、誘拐されたり襲われることもないだろ。仔仔には迷子カードも持たせてあるし」
 そう言われてみれば確かにその通りだ。
「そうだな。じゃ、夜の集合場所だけ決めとけばいいか」
「じゃぁ、三人で話して決まったら俺の携帯に電話してよ」
「オッケー」
そういうとヴァネスは電話を切った。
(そうだよな、仔仔一人ならともかく、阿旭が一緒なんだしな。よし、だったらさっさと朝飯食って出かけよう)
 ヴァネスは絞り立ての生オレンジジュースに手をのばした。
 それを一気に飲んで立ち上がろうとしたところで、又、携帯が鳴った。
 今度は台北にいる柴姐からだった。
「ヴァネス?休みのところごめんなさい」
「どうしたの、こんなところまで」
 休暇中に、わざわざ東京まで柴姐直々に電話とは・・・。
 ヴァネスはよからぬ予感がした。
「いい、ヴァネス。よく聞いて頂戴」
 カチャッ、と携帯の向こうでライターを開ける音がした。
「フーッ。実はさっき友人の記者から電話があったの。パパラッチが数人、あなたたちを追って日本に入ったって」
「!?」
「どうやら偶然一緒に飛行機に乗り合わせたお客の一人がタレ込んだらしいの。F4のメンバーと見られる美形の大男四人が乗って来て、そのうちの二人が隣同士に座っていちゃいちゃしてたって」
(阿旭と仔仔だ・・・)
「それで?」
「これは格好のネタになるって、何でもいいからツーショットを撮って来いって言われてるらしいわ。きっと、それ使ってでっち上げの記事を載せるつもりよ。『F4メンバー二人きりの日本隠密旅行』とか」
「あちゃー」
「しかも、ツーショットはどういう組み合わせでもいいらしいから、全員がターゲットよ」
 ヴァネスは目眩がした。
「これは絶対阻止しないと。後あと面倒なことになると思うの。何しろあんたたちって・・・」
 ヴァネスは柴姐が言いたいことが痛いほど分かった。
 ヴァネスの脳裏に昨日のチェックイン・カウンターでのやりとりが蘇った。
(どうしてあの時、俺はあの二人を隣同士に座らせてしまったんだろう?)
 だが、後悔してもどうにもならない。
「だけど、何で四人が一緒に東京に居るの?どうなってるのよ?」
「柴姐、それは、帰ってからゆっくり聞いてもらうよ。話の主旨はだいたい分かった。要はツーショットを撮らせなきゃいいんだね」
「その通り」
「でも、どうやって・・・」
「そんなの簡単よ・・・」

「と言う訳で、この旅行では二人きりになることは厳禁。一人、もしくは三人以上で行動すること。耳元のこそこそ話、目と目の会話も禁止、ボディタッチはもってのほか、いいね。阿旭、仔仔がふらふらしてても手をひいたりしちゃ駄目だよ。仔仔、今回ばかしは自立した行動をして貰うからな」
「ラジャー!!」
 手を後ろで組んで、「気をつけ、休め」の「休め」の状態で話を聞いていた二人は、ヴァネスに向かって敬礼をした。
 こうなった以上は全員ばらばらの個人行動しかないが、阿旭にひっつき虫を決め込んでいた仔仔の「初日から一人は不安」という言葉と、阿旭の「俺たちのどこがそんなに仲良く見えるって言うんだろう?」と言う、全く自覚のない言葉に、ヴァネスは今日一日だけは二人と行動を共にすることにした。
「歩く時はお互いに一定の距離を保ち、会話する時は三人で集まる。いいか、必ず被る様に重なって会話をする」
「了解」
「じゃ、今日の行動を確認する。朝食はとったね?」
 再び敬礼する二人。聞くまでもなく二人が朝食を食べ逃す筈がなかった。
「えっと、まずここは新宿。今日はこれから仔仔のリクエストにより地下鉄で浅草に行く。浅草では仲店通りを見て、お寺まで行き、お昼に仔仔のお目当ての「縁日のやきそば」を露店で食べる。おやつに、また、仔仔のリクエストのクリームあんみつを食べて、帰りは船で墨田川を下って、世界貿易センタービルに上り、そこで孝天と落ち合い、それから銀座で夕食を食べる」
「了解」
「でもヴァネス、どうして地下鉄なの?タクシーの方がいいんじゃないの?」
「それはな、仔仔、タクシーだとデカイ俺たちはどう考えても前に一人、後部座席に二人だ。後ろの座席だけ撮られたらそれでツーショットになってしまうだろ?」
「へぇ、さすがヴァネス。そこまで考えてるんだ」
(つーか、お前らも考えろよ・・・)

 三人はパパラッチ対策の為、毛糸の帽子を深く被り、それぞれ愛用のサングラスをはめた。そして、防寒対策の為、ダウンジャケットを着込み、ただでさえ肉厚なのに更に肉厚になって浅草へ向かった。
 しかし、本人達は目立たない様にしているつもりでも、デカイ身体にどう見ても異様なその格好と、一定の距離を保って歩いているかと思うと、急に集まり円陣を組む不審な動き。加えて、どうしても隠しきれない華やかな男前オーラの為に、行く先々で必要以上に人々の注目を集めた。

 一方、三人より一足先に出かけた孝天は、ヒゲも剃らずハーフポニーテール姿にサングラスで、アジア一のアイドルらしさを微塵も感じさせなかったが、小汚い格好であればある程男らしさが増し、流れ出すフェロモンも増量され、同じ車両に乗った婦女子の心拍数を上げ不整脈を引き起こしていた。

 三人は間もなくお昼になろうとする頃、浅草に着いた。
 2月の浅草は、観光名所とは言えさすがに寒さでお客の数もまばらだ。
 一行はまっすぐに雷門に向おうとした、が、思うように前に進めない。仔仔は食べ物屋のショーウィンドウを覗いては立ち止まり、駄菓子屋や露店の前ではおねだりを繰り返すし、阿旭はそんな仔仔をデジカメで激写し続け、そうでない時は広告用のティッシュを貰い集めるからだ。
 二人が立ち止まる度、自分も止まらなければいけないヴァネス。
(今日だけ、今日だけだからな、ヴァネス。我慢だ、我慢するんだ)
 ヴァネスは自分に言い聞かせた。
 その時、ヴァネスの携帯に孝天から連絡が入った。
 孝天とは今朝電話で話した後、連絡が取れなくなっていた。
「孝天!丁度良かった、話があるんだ。今どこだ?」
「え、俺?今、鎌倉」
「鎌倉~!?」
「緊急事態だ、今すぐ来い!!」と言いたいところだったが、鎌倉からの移動時間を考えると意味がなさそうだ。どうやら、今日はどうしても自分一人でこの二人の面倒を見るしかないらしい。
「話って何?」
「いや、いいよ。夕食の時話す。で、そっちの用件は?」
「あ、うん、大したことじゃないんだけど、もうすぐ12時だからそろそろ仔仔に昼飯食わせてやって。あいつ腹空かすと不機嫌になるからさ。それから、3時になったらおやつだから」
 ヴァネスのこめかみがピクピクと動いた。
「孝天」
「ん?」
「だったら今度から、弁当作って仔仔に持たせろ!!」
 ブチッ!!

2005'07'23(Sat)  sub :: ある日のヴァネース番外編:一週間 その3*  

一週間 -その2-



  日本へ出発当日、予定の時間より早く空港に着いたヴァネスは、空港内のカフェでコーヒーを飲みながらガイドブックを見ていた。
(美味しいもの食べて、買い物して、クラブではじけて、一日くらい温泉に行ってもいいな。あ、フィギュアも見に行こう。何てったって一週間もあるからな~)
 そんなことを考えていると、「ヴァネス?」と、背中から聞き慣れた声がした。
「やっぱりヴァネス」
 ふと目をあげると、帽子を深く被りサングラスをかけた、いつもの海外出張スタイルの阿旭がいた。
「阿旭?!どうしたの?」
「日本に行くとこ。今年は日本進出だろ?だから、こうやって一人で自由に遊びに行けるのもこれが最後かも、と思ってさ。ヴァネスは?」
「俺も同じ・・・。阿旭、フライトは?」
 チケットを見せ合うと、何と二人は同じ便だった。
「偶然だな。じゃぁさ、阿旭の泊まるホテル教えといてよ。一回くらい食事にでも行こうぜ」
「いいねぇ」
 ヴァネスがメモ張を出そうとした時、サングラスに無精髭、胸元にはサル、そして、ヴィトンを斜め掛けにしてカートを押しながらずんずんと歩いて来る大男が・・・。
「孝天?」
「あれ、ヴァネス。阿旭も」
「まさか、孝天も日本行きだったりして・・・」
「も、って、もしかして二人も?」
「え?やっぱりそうなのか?」
「うん。ほら、今年日本に進出すると、一人で自由に街を歩き回って写真撮ったりできなくなるかもって思って」
「そっか。考えることはみんな同じだな」
 三人はちょっと照れくさそうに顔を見合わせて笑った。
 孝天は日本は慣れてるし、阿旭も初めてというわけじゃない。ヴァネスは、これなら同じ日本にいても、自分が二人の面倒を見る事もないし振り回されることもないな、と無意識のうちに思った。そう、あの世話のやける問題児さえいなければ・・・。
 その時、
「しゃおてーん!!」
「あの声は・・・」
ヴァネスは声の方を見た。
 両手いっぱいにお菓子袋をかかえ、ほっぺにエクボをつくりながら嬉しそうに走って来る、グレイのパーカーにジーンズ姿の大きな子供・・・。いや子供じゃない、仔仔だ!
「お菓子買ってきたー。待っててって言ったのに、いなくなっちゃっうんだもん。探したよぉ。ちゃんと僕の面倒見てよね。あれ、ヴァネス。阿旭も」
 ヴァネスの自己防衛システムに赤ランプが点灯した。
(出たな~、小童め)
「二人とも、何でここに居るの?」
「それは俺たちが聞きたい」
「僕と孝天は日本に行くんです~」
 仔仔は得意気に言った。
 孝天を見るヴァネス。肩をすくめて頷く孝天。
「え?ってことは、F4日本に全員集合?」
「最初は俺一人で行くつもりだったんだけど、仔仔がどうしても連れてけって言うからさ。向こうでは別行動って条件で」 
「だって日本進出したら、自由に日本に遊びに行けなくなるかも知れないし。僕、仕事でしか行ったことなかったから」
 恐る恐るヴァネスが孝天が手にした航空券を見ると、二人も自分と同じ便だった。
(・・・・・・・・)
 ヴァネスは悪い予感がした。
「聞きたくないけど、一応、聞いてみる。みんなホテルは?」
「新宿パークハ○ヤット!!」
 見事なユニゾンだった。
 がっくりと肩を落すヴァネス。言うまでもなく、ヴァネスも同じだった。
「なんだよ、俺たち」
 孝天が笑った。
「F4はやっぱり『離れていても心は一つ』何だね」
 ちょっと涙声の阿旭が言った。
「あ、懐かしい、その言葉」
 仔仔が反応した。
 この言葉は、デビュー直後、まだ慣れない芸能界で個人で活動する時に不安にならない様にと、四人が決めたF4の合言葉だった。
「ねぇ、せっかくだから、みんなで一緒に行こうよ」
 その言葉に、日本での個人行動に不安を持っている仔仔が、自分の子守り役を確保しようとしているのを、ヴァネスは素早く察知した。
「俺は予定があるけど、いいんじゃない?って、イテッ!何でつねるんだよ、ヴァネス」
「孝天、てめぇ、俺と阿旭に仔仔を押し付けようとしてないか?」
「ねぇ、二姐、いいでしょ?」
 仔仔は両手を組んでお願いのポーズでヴァネスを見つめた。
「駄目!!だいたい何で休みの日までメンバーと一緒に行動しなきゃなんないんだよ!!」
「だって、僕たち、同じグループじゃん?」
「語尾を上げるな!!それに、F4は団体旅行のグループじゃない!」
「いいじゃん。みんな一人より四人がいいって、いつも言ってるし」
「それは仕事の時!!」
「三人も仲間が増えて、ヴァネス嬉しくないの?」
「機内持ち込み荷物は二つまで何だよっっっ!!」

 ヴァネスの抵抗も空しく、結局、四人は一緒に行動することになった。
 決めては阿旭の言葉だった。
「じゃぁさ、こうしない?移動と夕食は一緒。あとはそれぞれ自由行動。どうせ同じホテルだし、一緒に移動すれば交通費の節約にもなる、夕食もみんなで食べた方が楽しいだろ。四人揃ってプライベートで海外旅なんてチャンス滅多に無いし、たまにはこういうのもいいんじゃない?」
 デカイ態度をとっていても、孝天が年上の阿旭に逆らうことは絶対にない。そして、それはヴァネスも同じだった。意外にもF4は(魂だけは)体育会系のグループなのだ。
 絶対三人の面倒は見ない、そう固く決心しながらも、出発前からトイレだの、売店だの、ママに電話だのと、じっとしていない三人の代わりに、チェックインをする羽目になったヴァネス。
(ここまで、ここまでだぞヴァネス。台湾を出たら一切面倒はみない。いいな)
 そう呟いて、こめかみがピクピクするのを押さえながら、チェックインカウンターへ向かった。
「いらっしゃいませ。東京まで4名様ですね」
「はい」
「お荷物は?」
「えーっと、壊れやすい物が1つ、取り扱い注意が1つ、大きな小動物が1匹」
「は?」
「あ、いや、何でもありません」
「お席は一緒が宜しいですか?」
「全部、ばらばらで結構です。っていうかばらばらにして下さい」
「みなさん、ばらばらですね。・・・・お客様、あいにくですが、殆ど席が埋まっておりまして、通路側席に縦二つ、通路を挟んで斜め後ろに並んで二つとなってしまいます」
「あ、じゃ、俺、一人にして下さい」
「俺も一人でいいや。どうせ着くまで寝てるし」
 トイレから戻って来た孝天が言った。
「じゃ、俺の前が孝天。通路を挟んで俺の斜め後ろに阿旭と仔仔が隣同士だな」
「いいんじゃない?」
「オッケー。じゃ、それでお願いします」
 しかし、後にヴァネスは、この選択が大きな間違いだったことに気づくことになる。

2005'07'22(Fri)  sub :: ある日のヴァネース番外編:一週間 その2*  

一週間 -その1-



 F4が日本進出を目前にした旧正月も近いあるうららかな日の午後、ヴァネスは柴姐に誘われて、淡水のカフェ「紅楼」で久しぶりに一緒に遅いランチをしていた。
 わざわざ淡水までやって来たのは、最近疲れ気味のヴァネスが、海や川を見たいと言ったからだ。
 高台にあって海の見下ろせるこのカフェは、休日は若いカップルや観光客でいっぱいになるが、今日は平日でランチタイムもそろそろ終わりいうこともあり、人はまばらで空席が目立っていた。
「で、最近、どう?ご兄弟は?」
 BLTを食べていた柴姐は、口元をナプキンで拭きながらヴァネスに尋ねた。
「兄弟?アメリカの?みんな元気だよ」
 ダイエット中のヴァネスは、サラダのアボガドを口に突っ込みながら応えた。
「じゃ、台湾のご兄弟達は?」
「台湾の?」
「F3よ」
 F3とは言うまでもない、ヴァネスの大切な親友であり、兄弟同然のF4のメンバー、阿旭こと言承旭、孝天こと朱孝天、仔仔こと周渝民の三人だ。
「あぁ。元気だよ、あいつらは・・・」
「あいつら、は?」
「そう。俺以外は、ってこと」
 ヴァネスは重いため息をついた。
 以前はメンバーの面倒を見ると言えば孝天の役割だった。しかし、仔仔が隣に住む様になってから、孝天はどうも子供返りをしている。いや、確かに孝天は大人っぽいところもあるが、突っ張っているだけで、本来はやんちゃで子供っぽい性格なのだ。今でも四人の仕事の時は、進行や構成を仕切ってはいるが、このバラバラの四人をまとめようという無駄な努力はついにやめたらしかった。
 阿旭は以前ほど神経質ではなくなったものの、相変わらずガラスのハートだ。年長者らしく、いつもメンバーのことを考えてくれてはいるものの、四人をまとめることは、デビュー直後には試みてみたものの、とっくに放棄している。
 仔仔は相変わらず面倒見られ好きで、面倒見させ上手。人の心の動きには敏感だが、四人で居る時、何か率先して行うということはまずない。勿論、まとめ役になろう何て気持ちはこれっぽっちもない。
 そういうわけで、最近は、まとめ役が自然とヴァネスに回って来ていた。いや、まとめ役と言うより、どっちかというと内的にはバランスを取る役、外的には三人の行動をカバーする役と言った方がいいかもしれない。
「実際、最近、一人じゃフォローしきれないよ。あいつらやることなすこと自然体過ぎで、自分たちが芸能人だとか、人に見られてるって意識が未だに殆どないんだもん」
「まぁねぇ・・・」
「それに、仲いいのはいいんだけどさ、自分たちの行動が他人からどう見えてるかとか全く考えてないし・・・」
「分かるわ・・・」
「恐ろしいのは、三人に自覚がないってことなんだよ。自覚しててくれれば、もちょっと人前では分別持ってくれると思うど、どこでも同じだろ・・・。中に入ってバランスを取ったりカバーする俺の身になってみてよ」
 ヴァネスは、又、ため息をついた。
「そうねぇ。あなた達の仲の良さには前から感心してたけど、最近、ちょっと、その、仲良過ぎるというか何というか・・・。ファンは喜んでるみたいだけど。でも、私も前から聞こうと思ってたんだけど、実際のところはどうなの?やっぱり孝天と仔仔?それとも、阿旭と仔仔?ファンは二つに分かれてるみたいなのよね。私は旭仔派なんだけど、天仔も捨てがたいのよね~」
 実は柴姐、最近は日本の少女漫画だけでなく、BLものも読んでいて(密かにお気に入りのコミック「美しい男*」をF4で映画化できないか日々妄想している、が、絶対に無理)、F4をモデルにしたネットの同人小説も読んでいるので、脳がかなりそっちの方へインフルエンスされていた。
「柴姐、何の話?」
「え?な、何でもないわ。あー、で、どうなの?三人の仲は?」
「どうでもないよ。孝天と仔仔はデカイ小犬が二匹戯れてるみたいなもんだし、阿旭は・・・」
「阿旭は?」
 柴姐は目を輝かせて身を乗り出した。
「弟みたいに思ってるだけだろ。ただ、俺や孝天と違って、阿旭には弟がいないから扱い方の程度が分からないっていうか・・・つい猫可愛がりしてるけどね。仔仔は仔仔で実生活でも末っ子だから、可愛がられ慣れてるし。それだけだよ」
「ふ~ん(ちっ)」
「何、そのつまらなさそうな反応は?」
「いえ、別に。あははは」
 ヴァネスは怪訝そうな表情で首を傾げた。
(わけのわからない人間ばっかだな)
「でも、気をつけて。最近、どうも狙ってる人達がいるらしいから」
 柴姐は声を落して、真面目な顔で言った。
「狗仔隊か。でも、狙ってるって?」
「スクープよ。大スキャンダル。『F4、メンバー同士の禁断の恋』」

2005'07'21(Thu)  sub :: ある日のヴァネース番外編:一週間 その1*  

 
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